エッセー・評論

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美しい夜景と引き換えに?…(撮影・三浦拓也)

美しい夜景と引き換えに?…(撮影・三浦拓也)

 今年に入って、パキスタン取材旅行を敢行した。比較的安全な首都周辺のパンジャーブ州を回ったのだが、貧しくとも人々の表情は明るく旅行者にも人懐こく、楽しい旅となったことはさておき、パキスタンの都市はひんぱんに停電する。

 バザールの店内で買い物や食事をしていると、いきなり停電して真っ暗闇になる。しかし、客たちは慣れているので慌てない。店員がすぐさま駆けだして、店の前に設置したポータブル発電機を動かす。1分とかからずに最低限の照明がつく。その間、客はひそやかに囁(ささや)きかわしながら、辛抱強く待っている。どういうわけか、暗闇の中では声が小さくなるらしい。嗅覚が目覚めるのか、明かりがついている時よりも香草やスパイスのツンとした匂いがきつく感じられる。照明が戻ると、いましがたの停電などなかったかのように止まった時間が流れだす。なんとも緩やかな時の流れだ。1日の半分以上は停電しているとガイド氏が笑うほどで、小さな商店やレストラン、そこそこ裕福な家庭にもみな発電機が置いてある。

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2014/3/31
 

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