
「有事の備え」 日常に溶け込む?(撮影・中西幸大)
悪い想像をするのが得意だ。得意と言ってしまうと、嬉々(きき)としているようにも聞こえて「変なやつ」と思われそうだけれど--とにかく、そのおかげで自分がいまミステリを書いているのは間違いない。
常に最悪の事態を予想してしまうので、飛行機に乗ったり、旅先でホテルに着いたりすると、真っ先に非常口を確認する。火災の煙が充満して視界がきかなくなることを想定し、部屋を出て左右どちらに何メートル進めばよいか、見えなくても非常口にたどりつけるよう、あらかじめ調べておく。
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