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認知症診療の現場

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古和久朋教授 神戸新聞NEXT
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 認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす認知症。高齢化の進展で、2020年に600万人、25年には700万人に達し、高齢者の5人に1人が発症すると推計されています。誰でもかかり得て、治療は難しい-。そんな認知症と、どう付き合えばよいのでしょうか。神戸大医学部付属病院の専門外来「メモリークリニック」で多くの患者を診ている同大大学院保健学研究科の古和久朋教授(48)に、診療の現場から語ってもらいます。(聞き手・貝原加奈)

 -多くの認知症患者がやってきます。

 「神大病院は神戸市から認知症疾患医療センターの指定を受けた専門医療機関で、私は週に20人ほどを診療しています。大きな目標は認知症の人や家族が住み慣れた地域で暮らせるようにすること。センターでは認知症の診断や診療だけでなく、地域の医療機関への紹介に加え、生活や介護の相談なども行っています」

 -どんな状態で病院に来る人が多いですか。

 「『もの忘れがひどくなって心配だ』と言って本人が来るか、ある程度症状が進んでから家族に連れて来られるケースがほとんどです。自分で来る人は、まだ自らを客観視できているので、その時点では認知機能には問題がないことが多いですね」

 「実際に認知機能が低下し始めると、反対に『認知症であるわけがない』と本人が認められなくなり、病院にも行きたがりません。家族も本人にそう強く言われると『そうかな』と思い込みがちになります。その結果、対応が遅れ、家族に引っ張られて外来を受診した時には症状が進んでいることが多くなります」

 -理想の受診時期はいつですか。

 「まだ自分を客観視できているタイミングで、認知症になる前や初期の段階です。体の機能や能力を維持する必要性について、本人がある程度受け入れ、理解もできるからです。このころであれば、定期的な通院やデイサービスを利用しながら進行を抑え、本人の理想とする生活を維持できる可能性が高いと言えるでしょう」

 -診断の方法について教えてください。

 「まず『今日はなぜ来られましたか』という質問から面談を始めます。本人の言葉に取り繕いがないか、同じ言い回しを繰り返していないか-などを診ます。代表的なアルツハイマー型認知症の特徴はエピソード記憶の喪失なので、診察で同じ話を繰り返す場合はその可能性が高いです。『最近、気になるニュースは何ですか』もよく聞く質問です。字の読みや単純な計算などをする『ミニメンタルステート検査(MMSE)』も、記憶そのものに問題があるかどうかの指標にします。症状を見極めた上で、脳画像検査を行います」

 -アルツハイマー型以外の認知症の場合は。

 「手足の動かしづらさなどのパーキンソン症状や幻視が特徴である『レビー小体型認知症』であれば、そうした症状があるかを確認します。言葉の定義が分からなくなる『前頭側頭型認知症』の特殊な場合だと、誕生日や腕時計などの言葉が理解できているかがポイントです」

 -治療はどんなことをするのでしょうか。

 「もの忘れそのものが治る薬はありません。現在、認知症治療には4種類の薬を使いますが、大きく分けると、気分を穏やかにするものと、反対に元気にさせるものです。進行する病気なので、状態に合わせて、定期的に薬を調整していきます。服薬と同時に、過剰な飲酒や喫煙、運動不足など認知症のリスクの元になっている生活改善を促したり、介護保険を使って介護者の負担を減らすアドバイスをしたりします」

 「中には睡眠薬や抗不安薬などで一時的に認知機能が低下している人もいます。大事なのは、その人や家族が何に困っているかを明らかにし、暮らしやすくする方法を一緒に探っていくことだと思います」

【こわ・ひさとも】1970年、東京都生まれ。95年東京大医学部卒。2004年3月、同大大学院修了。同大学病院で認知症専門外来を立ち上げ、10年に神戸大へ。認知症専門医として診療に携わり、一般向けに認知症予防の心得について話す。17年から現職。兵庫県芦屋市在住。

2019/6/19

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