連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

認知症診療の現場

  • 印刷
血管性認知症患者の男性(左)を診察する古和久朋教授=神戸市中央区楠町7
拡大

血管性認知症患者の男性(左)を診察する古和久朋教授=神戸市中央区楠町7

血管性認知症患者の男性(左)を診察する古和久朋教授=神戸市中央区楠町7

血管性認知症患者の男性(左)を診察する古和久朋教授=神戸市中央区楠町7

 血管性認知症となり、週2回のデイサービスを利用しながら、姉(73)と2人で暮らす神戸市の男性(71)。2013年から神戸大医学部付属病院の認知症専門外来「メモリークリニック」に通っている。アルツハイマー型とは症状の進み方などが違うとされる同認知症。診療方法や普段の生活について、同大大学院保健学研究科の古和(こわ)久朋教授(49)とともに聞きました。(井上 駿)

 男性が足のふらつきなどを覚えたのは11年夏。近くの公立病院を受診し、磁気共鳴画像装置(MRI)で頭部を検査すると、大脳や小脳に脳梗塞が見つかりました。その後、物忘れや歩行障害が現れ、血管性認知症と診断されました。13年10月に同クリニックへ転院し、治療を続けています。

 -どのような形態の認知症なのでしょうか。

 姉「弟は『脳アミロイド血管症』と診断されています。症状として、脳の中にアミロイドというタンパク質がたまって小さな出血に発展していると教えてもらいました」

 古和氏「脳の表面に近い部分で小さな出血がいくつかありますね。脳内で出血があると、認知機能ががくっと低下することもあるので、注意が必要です」

 -普段の様子は。

 姉「もう10年近くになるので、認知症が進行していることは感じます。日常生活で、どんどんコミュニケーションが取れなくなっています。元々あまりしゃべらない性格でしたが、さらに口数が減りました」

 「歩くのも難しくなっています。だけど、急に何かができなくなったというイメージはないです。感情の起伏は少ないし、口論になったこともないです。ただ、少しずつ、できないことが増えていきます」

 古和氏「うまく発音できない『構音障害』や、歩行障害がありますね。血管性認知症は脳内出血によって起こるので出血を抑えられれば、アルツハイマー型に比べて進行が緩やかになるという見方もあります」

■転倒など頭の殴打に注意必要

 -日常生活で気にしていることはありますか。

 姉「食事は塩分を控えめにしています。朝は7時に起床し、だいたいテレビを見て、新聞も眺めていますね。新聞、読めてるの?」

 男性「うん、全体的に読んでいるよ」

 姉「血圧の記録は、毎日付けています。最高血圧が180ミリHgに上がった時期もありましたが、今は130ミリHgあたりで落ち着いています。日々歩行が難しくなっていくので、足踏みや、椅子に座って立ち上がる動作などを繰り返してもらっています。そうした努力の成果が出ているのかもしれません」

 「進行がゆっくりだからでしょうか、『弟が認知症の患者だ』ということを、なかなか受け入れられません。元気な時の姿が頭から離れないんです」

 -それでも進行を感じる時はありますか。

 姉「つい最近、駅前のベンチに1人で座って待つようにお願いしたんですが、用事を終えて戻るといなくなってしまっていて。青ざめて2時間くらい捜しました。近くの商業施設で見つけたんですが、『待ってたよ』と、弟は何もなかったように接していました」

 「それから弟がいなくなることが、ものすごく怖くなりました。コミュニケーションが取れないので、どうしても突き放してしまいがちで…。しかし、あるがままの弟と向き合うことが大切なんだと感じさせられました」

 -ストレスをどう解消していますか。

 姉「私が1人で外出しても、弟はちゃんと家で待ってくれています。ずっと元気でいてほしい。だから、できることは自分でやってもらって、私もあんまり『介護している』と気負わないようにしています」

 古和氏「転倒などで頭を打たないように注意して、脳内の出血をいかに抑えるかが重要です。健康な生活を続けていきましょうね」

【血管性認知症】血管性認知症 脳卒中(脳梗塞、脳出血)による脳の血管障害で引き起こされる認知症。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患があるとなりやすくなる。脳梗塞や脳出血が起こると段階的に進行して、認知機能が次第に低下していく。ダメージを受けた脳細胞の部位によって症状が異なるが、体のしびれや言語障害などが特徴だ。

2020/2/19

天気(9月26日)

  • 27℃
  • ---℃
  • 20%

  • 25℃
  • ---℃
  • 60%

  • 27℃
  • ---℃
  • 10%

  • 27℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ