連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

認知症診療の現場

  • 印刷
男性を診療する古和久朋教授(右)=神戸市中央区楠町7
拡大

男性を診療する古和久朋教授(右)=神戸市中央区楠町7

男性を診療する古和久朋教授(右)=神戸市中央区楠町7

男性を診療する古和久朋教授(右)=神戸市中央区楠町7

 神戸市の男性(80)は、2015年に神戸大医学部付属病院の認知症専門外来「メモリークリニック」を訪れ、レビー小体型認知症と診断されました。幻視とパーキンソン病のような症状が特徴で、1年ほど前からは自力で歩けなくなりました。デイサービスやショートステイ、訪問看護を利用するなど、妻(71)が態勢をしっかり整えて、自宅で介護しています。夫妻と同大大学院保健学研究科の古和(こわ)久朋教授(49)に、現在の症状や治療などを聞きました。(松井 元)

 男性は自営業で、過労やストレスなどで30年ほど前に心筋梗塞になり、それから4度の手術を乗り越えてきました。アルツハイマー型認知症を疑われたのは14年ごろのことでした。

 -最初の診断はどこで。

 妻「心臓の治療のために通っていた病院で、医師に『アルツハイマーではないか』と言われ、メモリークリニックを訪ねました。しかし、検査は計算問題で満点を取るなど良好で、心配なさそうだと言われ、ほっとしました」

 「ところが約1年後、幻視が始まって。天井を見て最初は『小さな虫がいる』。次に『ネズミくらいの大きさの動物がいる』。だんだん大きくなり、『子どもがいる』と言い出し、再びクリニックを訪ねました」

 -その後の診療は。

 古和氏「たった1年半で、計算問題の点数が4割近くも落ちました。アルツハイマーではみられないことです。幻視のテストをしてみると、反応がありありと出ました。それでレビー小体型認知症と診断し、治療を始めました」

 「まず、認知症の症状を軽くする『アリセプト』という薬を使いました。これがよく効いて、今も患者さんの意識を下支えしています。16年からはパーキンソン症状の薬も始めました」

 -症状の変化は。

 妻「最初のころは、デイサービスに行くと、カラオケで楽しそうに歌っていたんです。でも、だんだんとモニターに出る歌詞を目で追えなくなり、『もう嫌や』と言い出しました。今は少人数で目が届きやすい認知症専門のデイサービスを利用しています」

 「あと、自宅のベッドなどを移動させて、1階だけで暮らせるようにしました。でも階段を使わなくなった途端、歩けなくなって。今は寝たきりで、全く寝返りも打たない状態です」

■リハビリで身体能力を維持

 -1人での介護は大変ではないですか。

 妻「今はデイサービスを週4回、ショートステイを月の半分くらい使います。お風呂もそれで済みます。最近は週2回くらい訪問看護もお願いして、リハビリや歯磨き、排便などを支援してもらっています。古和先生には、リハビリをしっかりやるようにと言われています」

 -家で気を付けていることは。

 妻「しっかり食事をすることですね。食べやすいように、とろみをつけて、喉ごしのいいものを作っています。例えば、おかゆは、すりおろしたヤマイモ、溶き卵、チリメンジャコを入れて。カレーはすべてミキサーにかけます。あと、50分くらいかけて、ゆっくりと食べてもらっているんです。誤嚥(ごえん)性肺炎を起こさないように気を付けています」

 -今後の計画は。

 古和氏「お薬で安定させながら、同時にリハビリやデイサービスなどを続けることで、認知機能と身体能力の両方の維持に取り組んでいきます」

 妻「本人は家にいた方が安心なようなので、私が元気な限りは、いろんな人の協力を得て、できるだけ家でみてあげたい」

【レビー小体型認知症】認知症全体の約2割を占めるとされ、アルツハイマー型に次いで多い。男性患者数が女性の約2倍。「レビー小体」という異常な構造物が蓄積して、神経細胞が減少するのが要因。実際にはいない小動物や虫、子どもなどが見える「幻視」が特徴で、歩行障害や手の震えなど、パーキンソン病のような運動症状が現れることも多い。

2019/11/20

天気(9月21日)

  • 28℃
  • ---℃
  • 0%

  • 25℃
  • ---℃
  • 10%

  • 28℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ