■神戸空港島で「117KOBEぼうさいマスターアワード」
阪神・淡路大震災の体験を次代に継承する「117KOBEぼうさい委員会」メンバーの大学生が企画した「117KOBEぼうさいマスターアワード feat.COMIN’KOBE15」がこのほど、神戸空港島内特設会場で開かれた。会場には約千人が訪れ「ぼうさいマスター」の認定式や防災グッズ工作教室などが開かれた。
▼視覚障害を持つ福田さん 自分の力を役立てたい
イベントは双子のタレント、尾崎亜衣・由衣さんによる斉唱「しあわせ運べるように」でスタート。聴覚障害を持つ高杢正樹さんと先天性視覚障害を持つ福田正人さんがそれぞれ、ピアノで「匠」「革命」「ノクターン」などを演奏した。東日本大震災復興支援コンサートへの出演経験も持つ福田さんは「障害があるためにできないこともあるが、できることもある。私が行って役立てるなら、と被災地で活動している」と思いを述べた。
続いて「117KOBEぼうさい委員会」のメンバーがステージに上がり、県内6大学40人で取り組んできた活動を報告した。震災発生直後を想定し、空き缶でご飯を炊き、テントで生活して緊急時の対応やリーダーシップなどを学ぶ「避難所体験合宿」▽自動体外式除細動器(AED)を使った救命措置体験を兼ねた「117KOBEフットサル大会IN大蔵海岸」▽ラジオ関西での番組出演-などの詳細を紹介した上で「今後は一人でも多くのぼうさいマスターを輩出できるよう後押ししたい」と決意を語った。
▼元サッカー日本代表監督 岡田武史さん×漫画家 高橋陽一さん
▼岡田さん 思いやりの心を学んで
▼高橋さん 活動への情熱絵に込め
委員会のプロジェクトアンバサダーを務める元サッカー日本代表監督の岡田武史氏と、プロジェクトサポーターで「キャプテン翼」の漫画家、高橋陽一さんのトークセッションも行われた。
岡田氏は自身も参加した避難所体験合宿について「今の若い人たちは、あらゆる危険から守られすぎて遺伝子にスイッチが入るチャンスを奪われている。だからこそ極限の体験をして新しいことにチャレンジすることが大切」と呼び掛けた。また、指導者として参加したフットサル大会の意義についても触れ、「10人ずつに分かれて10個のボールをいかに速くゴールに入れるかというゲームをしたが、作戦を練り、試行錯誤を繰り返す中でチームワークが生まれる。力を合わせ、仲間を思いやることの大切さを知ることは、災害時の対応にもつながる」と語った。
委員会のキャラクターを描いた高橋氏は、実際の委員会メンバー2人の写真を元にキャラクターを描いたエピソードを披露。「面倒くさいことをしたがらない若者が増える中で、防災の活動に積極的に取り組んでいるいきいきしたイメージで描いた。フットサル大会でも彼ら彼女らがAED講習をしている姿を見て感心した。万一のときのためにとても大切なこと」と話し「ぜひ活動を全国に広げていってほしい」と期待を込めた。
▼心肺蘇生法や救出訓練… 防災の知識 楽しく学ぶ
会場には防災、減災をテーマにした各種ブースが開設された。「ぼうさい委員会」はゴミ袋を使ったレインコート作りやキッチンペーパーを使ったマスク作り、心肺蘇生法などを紹介。神戸学院大学の女子学生で組織する「防災女子」は、米とスープをビニール袋に詰め、20分間熱湯に入れて作る即席ご飯を「防災食」としてふるまった。
神戸から誕生したアイドルグループ「KOBerrieS♪(コウベリーズ)」はライブステージで、防災マップを家族で作ることの大切さなどを呼び掛けた。神戸市消防局は車2台の衝突事故を想定した救出訓練を、きびきびした動きで披露。エアバス・ヘリコプターズ・ジャパンによる防災ヘリの展示や体験搭乗も行われた。
また、同日行われた神戸空港9周年イベントとも連携。昨年「一日空港長」を務めた神戸どうぶつ王国のアルパカ「りく」君が登場し、注目を集めた。
▼「ぼうさいマスター」認定式 齋藤さん「継承の輪」広げたい
「117KOBEぼうさいマスター」は防災・減災活動に積極的に取り組み、救命措置の技能を習得した者に与えられる称号で、5種の動画講座を受講し、神戸市の「市民救命士」(普通救命コースⅠ)資格を取得した人に与えられる。
イベントでは新マスターの認定式が行われ、福田さん、高杢さんが代表で目録を受け取り、大型スクリーンにこれまでマスターを取得した約300人の名前が映し出された。
あいさつに立った神戸市危機管理監の広瀬朋義氏は「阪神・淡路大震災から20年が経過した。1月17日に東遊園地で行われた集いでは、これまでの20年の重みと、教訓を次代に伝えていく責任を感じた。『ぼうさい委員会』は大学生が中心になって若者に震災の記憶を伝えていくプロジェクト。命の尊さ、絆の大切さ、備えの重要性がしっかりと継承されていくよう、大学や企業と連携しながら広めていきたい」と述べた。
また、震災直後に初代兵庫県防災監を務めた兵庫県国際交流協会理事長の齋藤富雄氏が「震災で悲しさ、厳しさ、苦しさを経験した住民の割合が、神戸市でも半数を切ってしまった。ただ、震災の教訓は体験しないと語れないわけではない。委員会の活動のように若者が学び、伝える姿は多くの人を引きつける。次に備えて輪を広げていってほしい」と委員会の活動をたたえた。
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