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第2部 白菊の空~神風特別攻撃隊~

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 1945(昭和20)年5月24日、神風特別攻撃隊徳島白菊隊の操縦員、宮﨑亘(わたる)さん(88)=神戸市長田区=は串良(くしら)基地(鹿児島県)で、第1次の出撃で飛び立った仲間を見守った。宮﨑さんは翌25日未明、第2次での特攻を言い渡されていた。

 「5月24日は、黒い機影が順々に飛び立っていくのを黙って見送りました。それから寝床に戻りましたけど、出撃直前だからいうて特別な部屋なんてありません。これまでと同じ、教室みたいなとこにごろ寝でしたな」

 「隊によっては、前の晩に激論したり、気勢を上げたりするようなところもあったようやね。うちらも、串良に来る前の晩は壮行会みたいにしてにぎやかにやったけど、その日はひっそりと寝ました」

 「いうても、日付が変わったらすぐ起きなあかんから、仮眠ですわな。目が覚めたら最期なんやから、そりゃあ神経は高ぶっとる。『余計なこと考えんとこ』って思うて目をつぶりました。みんな静かでした」

 出撃の日は午前3時ごろに起床した。飛行服を身に着け、飛行場の一角に用意された白い長机の前に整列した。

 「杯が人数分置いてあって、偉い人が一人ずつ、ついでいくんです。『頼むぞ』とか、『頑張ってくれ』とか言いながらね。何を飲んだか覚えてへんのやけど、一緒におった仲間は『サイダーやった』って言うな。それと眠気覚ましの薬みたいなもんも、二つ三つもらった。『眠とうなったら飲め』って。これから死に行くぞって緊張しとんのに、『ちょっと一眠り』なんて悠長なこと、あるわけないのにね」

 「それから『かかれ』って号令で、木の陰に隠しとった白菊のとこに走って行った。わしの飛行機には無線は積んでなかった。編隊を組まずに、単機で行けという命令やったけど、無線を搭載しとる上官が『着いてこいよ、絶対離れるなよ』って言ってくれました」

 「白菊は爆弾を二つ抱えてました。整備員が、操縦席の風防を開けて待っていて、『ご苦労さんです』って声を掛けてくれて。操縦席に座って、エンジンの調子を確認しました。思ったよりも冷静やったね」

 「夜が明け始めていました。整備員の合図で白菊を滑走路の脇へと動かして、1番機から順番に並んだ。わしは、5番目か6番目やったと思う。『いよいよ来たな、これが最期だ』って操縦かんを握っとった。そやけど、1番機がいつまでたっても動かない。ほしたら整備員が走ってきて、大声で『中止、中止』って。状況がよくのみ込めんかったけど、『取りあえず、今日は生きられる』って思った」(小川 晶)

2013/8/24
 

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