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新ひょうごの医療
病気ごとに医療の最前線を取材。
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古川宗さん 神戸新聞NEXT
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 「健康診断や人間ドックを受けなければ、がんを早期に見つけられなかった」。肺がん患者会「肺ゆう会」代表の古川宗(はじめ)さん(60)=神戸市西区=は振り返る。放射線技師でもある古川さんは「エックス線で全ての肺がんが見つかるわけではないが、早期で見つかればメリットは大きい」と強調する。

 2013年6月に受けた人間ドックで、医師から「右肺の上葉に陳旧性(少し時間の経過した)病変がある」と指摘された。すぐに陽電子放射断層撮影装置(PET)や気管支鏡などの検査を受け「がんの疑いが強い」と告げられた。

 7月に神戸市内の病院で手術を受け、3日後に歩いて退院。病期ⅠAの早期腺がんだったため、術後の化学療法なども不要だった。

 「順調」な経過のはずが、8月になって将来への不安などからひどく落ち込んだ。「気力が湧かず、頭の中で同じ曲が鳴り続ける状態だった」

 そんな時、昔読んだ本の「がん患者はまず自分の症状を受け入れられず『拒否』する」との内容を思い出し「自分を客観視できた」と振り返る。前を向こうと「ひょうごがん患者連絡会」に入った。

 「連絡会では褒められ、おだてられ、いろんな仕事をさせてもらった。同じ患者の仲間ができた」。新たな出会いが背中を押し、今年2月に肺ゆう会を立ち上げた。

 胸腔鏡(きょうくうきょう)手術の際に穴を開けた右脇は時折、きりきりと痛む。「いわゆる肋間(ろっかん)神経痛。痛み止めも(医療用の)麻薬もあまり効きません。気を紛らわせるしかないが、ほかの慢性疾患と同じだと思うようにしています」

 現在も3カ月ごとの検査と診察、年1回の精密検査に通う。再発の不安は常にある。

 「ひょっとしたら今も体にがんがいるかもしれない。でも、そのがんとも仲良く暮らせばいい」。自分自身に言い聞かせている。

 「治療のために生きても苦しいだけ。楽しく過ごす方がいい」。古川さんはお酒や刺し身を味わい、ジョギングに汗を流す。「がんと長く付き合えるように、心や体を元気にした方が得策ですよ」と笑う。(山路 進)

2016/5/7

 兵庫県内の医療の最前線に迫る「ひょうごの医療」は、2009年の連載開始から44シリーズを数えた。今回から装いを新たに、診療に役立つ情報をよりタイムリーに取り上げる新シリーズを始めます。初回のテーマは「進化する診療」。

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