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 携帯電話の普及の一方で、兵庫県内の公衆電話がこの七年間で一万台減っていることが、十日までに分かった。大規模災害の発生時、一般の加入電話や携帯電話がかかりにくくなるが、公衆電話は災害時優先電話に準じる扱いで市民が使えるほぼ唯一の通信手段となる。防災の専門家は「災害時に備え、維持する仕組みを考えるべき」と指摘している。

 県内の設置台数は二万三千台(二〇〇三年三月現在)で、NTTグループは赤字を理由にさらに減らす方針だ。

 阪神・淡路大震災では、安否確認などの電話が通常ピーク時の五十倍も殺到し、通話しにくくなる「電話輻輳(でんわふくそう)」が約五日間続いた。輻輳の拡大を防ぐために加入電話の通話が規制され、ますますかかりにくくなった。

 〇三年五月の宮城県連続地震では携帯電話も通話が困難に。いずれのときも、公衆電話に長い列ができた。

 公衆電話は採算性が悪い。全国では八四年度の九十三万台がピークで、昨年三月には五十八万台になったが、それでもNTT西日本の公衆電話事業は、〇二年度の単年赤字が百四十億円に上る。

 会計検査院の指摘もあって、月間利用額が四千円未満の分は廃止対象となった。同社は廃止予定数を公表していないが、市街地でおおむね五百メートル四方に一台、それ以外では一キロ四方に一台残すことを目安にするという。

 同社は災害時の対策として、無料の特設電話や、阪神を教訓に始めた災害用伝言ダイヤル「171」を挙げる。とはいえ、災害発生当日に被災者が通信する手段としては公衆電話が有効で、国の中央防災会議でも昨年、維持の要望が出た。

 廣井脩・東大社会情報研究所所長は「このまま削減が続けば、災害時に被災者の不安が増幅する」と指摘。「資金を集めてプールし、全国あまねく設ける仕組みを確立すべき。電話ボックスをインターネット機能が充実した“町の情報センター”にできないか」と提言している。(宮沢之祐)

2004/1/11
 

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