被災者追跡アンケート
▼震災後の居住地
借家層の4割戻れず
十年近くを経て、震災前に住んでいた地域に戻れた住民は、持ち家層で85%、借家層で60%と、差が出る結果となった。地域格差も大きく、町の大半の家屋が全壊・全焼し、区画整理事業が導入された千歳地区の借家層で戻っていない割合が多い。
地域に戻っている世帯は、深江地区の持ち家層が94%、千歳の持ち家層が74%。借家層では、深江が74%に対し、千歳は46%しかなかった。「戻りたいが、断念」との回答は、千歳の17%に対し、深江が1%だった。
持ち家層の戻れない理由は、千歳では「資金不足」「高齢」、深江は「家族の事情」が多かった。借家層では、千歳で「区画整理の遅れ」「権利関係が複雑」が目立った。深江は「今の地域に慣れた」「家主が再建しない」などだった。
▼区画整理
厳しい評価 必要「40%」
復興土地区画整理事業が進む千歳地区の住民らに、事業導入の評価を尋ねたところ、「必要だった」は40%にとどまった。「必要なかった」は14%で、「どちらともいえない」が40%だった。
必要の理由では「防火用水などが整備された」(70歳以上男性)と防災面の向上を挙げる人が少なくない。一方、「マンション建築などで日当たりが悪くなった」(50代男性)「空き地が多く、防犯上も心配」(40代女性)という指摘も。中には「家並みはきれいに、道路も広く、公園も出来つつあるが、昔の良き時代を引きずっていて何とも言えない」(70歳以上男性)と、まちの変化を複雑な気持ちで見ている人もいた。
2005/1/11