全編淡路島ロケの映画「なんのちゃんの第二次世界大戦」が、来月9日から兵庫県の淡路島内唯一の映画館「洲本オリオン」で公開されるのを機に、同作に出演した地元住民が中心となり「シネマキャロットプロジェクト」を発足させた。20日に同館であった関係者向け試写会で、監督の河合健さん(31)らが発表した。プロジェクトでは、同作の上映終了後も、別の新作邦画の定期上映を続け、島の映画文化を盛り上げていく。(西竹唯太朗)
オリオンは戦前開業の人形浄瑠璃小屋が前身で、1951年から映画館として本格的に開館。だが、客の減少から2013年を最後に、1カ月以上の長期上映はしておらず、近年はイベントスペースなどとして利用されることが主だった。
19年に河合さんが、なんのちゃん-を製作することを決め、約7年ぶりに長期間の上映をすることとなったオリオン。映画の製作過程の中で、島内でも多様な映画を見られる場所を-と、プロジェクト発足の機運が高まったという。
プロジェクトでは、月に1本のペースで新進の若手監督らが手掛けた邦画を上映予定。監督を招いた作品解説なども検討しているという。代表を務める農家の大田志穂さん(39)=同県南あわじ市=は、「都会にあって島にない、気軽に映画を見に行く文化を作っていけたら」。河合さんは「地方の映画館が生き残っているのは、作品でなく映画館自体にファンがいるから。プロジェクトを通して、オリオンもそうなってくれれば」と話していた。
