兵庫県南あわじ市賀集福井の南淡福井自治会館前に、地元の農家グループが芝居小屋をイメージした無人直売所を設けた。タマネギやレタス、ブロッコリーなど多彩な物品を販売し、「地域を訪れる人でにぎわってほしい」と力を込める。

　廃材を組み立てた手製の直売所。「小屋まる」と命名した。設置した農家は３人で、現在は６農家ほどが出品する。

　中心メンバーの一人、木田朱美さん（４７）は、義太夫節三味線の人間国宝・故鶴澤友路さんに師事した経験がある。淡路人形座で、鶴澤友吉の芸名で活躍していた。

　しかし、新型コロナウイルス感染拡大で公演が縮小したことなどから、実家の農業で第二の人生を始めようと決断。昨年７月に辞職した。インターネットなどを使って野菜の販路を広げる一方、「地元で気軽に野菜を売れる場もほしかった」と話す。

　直販所は、主力の野菜以外に、アイガモ農法に力を入れる農家が手掛けるカモの卵など珍しい食材も出す。今後、直売所の数や参加する農家を増やし、観光客の呼び込みを目指すという。（西竹唯太朗）