高台から瀬戸内海を見渡し、ゆっくりとした時の流れを楽しむカフェ「ａｏｉｅ（アオイエ）」（兵庫県淡路市尾崎）が人気を集めている。奈良県斑鳩町から移住した松井秀幸さん（６８）、紀子さん（６４）夫妻が、使われなくなった別荘を改修し、カフェとエステティックサロンを昨年オープンさせた。さらに手作業で周辺の整備を進め、今後はキャンプスペースの貸し出しを予定する。（内田世紀）

　秀幸さんが６５歳の定年を機に、「淡路島で農業を」と決意。紀子さんの希望で、海の見える家を探した。約１年半、島内各地を見て回り、ようやく出合った青い屋根の家。「一目ぼれした」と購入を即決した。空き家の利活用には公的な支援制度があると知り、関係機関に相談。起業を条件とした融資の提案を受け、カフェやエステなどの開業を決めた。

　秀幸さんが先に住み始め、１年かけて周囲を開墾した。生い茂る竹を根から刈り取り畑を整地。エステティシャンの紀子さんのため、サロンとなるツリーハウスを建てた。昨年１月にオープンしたが、コロナ禍で営業は足踏み状態に。だが、島西岸部の開発も手伝い徐々に若者らが訪れるようになった。

　人気は畑で取れたシソのサワーや手作りケーキなど。景色を眺めながら味わえば「気分が落ち着き満足度が高い」と、リピーターも付いた。ツリーハウスでのディナーや、バーベキューにも対応。今後は屋外トイレを整備し、キャンプ場としての貸し出しも予定する。紀子さんは「日常を忘れてリラックスできる空間がここにはある。育児や介護、仕事などでストレスを抱える女性にもぴったり」と話す。

　ケーキセット千円、ディナー１人３９００円（いずれも税込み）など。アオイエＴＥＬ０７９９・７０・７２１９