淡路

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思い出の写真を手に「戦争を終わらせて」と訴える山本春姫さん=南あわじ市
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思い出の写真を手に「戦争を終わらせて」と訴える山本春姫さん=南あわじ市
舞台に立ったウクライナの国立劇場前でポーズを取る山本春姫さん(提供)
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舞台に立ったウクライナの国立劇場前でポーズを取る山本春姫さん(提供)
練習仲間と記念写真に写る山本春姫さん(後列右から2人目、提供)
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練習仲間と記念写真に写る山本春姫さん(後列右から2人目、提供)

 ウクライナのバレエ学校に留学し、ロシアによる軍事侵攻を受ける直前の2月に帰国した山本春姫(はるき)さん(21)=兵庫県南あわじ市=が、異国でできた仲間との再会を願って練習を続けている。留学は2019年9月から3年間の予定だったが、7月の卒業試験を目前に中断を余儀なくされた。「早く戦争が終わってほしい。このままでは学校がどうなるか分からない」「戻って必ず卒業する」。信念と不安が入り交じる。(内田世紀)

 3歳で、双子の弟飛雄馬さんとバレエを始めた。「幼いときは練習嫌いだった」というが、小、中学校では「舞台で見てもらえるのがうれしい」と徐々に熱中。洲本高校3年の夏、「プロのバレエ・ダンサーに」と真剣に考え、飛雄馬さんと留学を決意した。

 自ら留学先を探し、バレエの本場キーウ(キエフ)にある「キーウ・バレエ・カレッジ」を選んだ。子どもから大人まで通う私立学校で、バレエに没頭できる環境が整っていた。世界各国から留学生が集まり、日本人も10人ほどいた。

 「歴史を感じる美しい街並み」というキーウは「平和そのもの」だった。学校帰りに友達と街を歩き、買い物やカフェを楽しんだ。異国の仲間も増え、寮の部屋に集まっては夢を語り合った。

 ウクライナは14年、南部クリミアをロシアに武力で奪い取られた。その後も緊張状態は続いていたが、暮らしに不安を感じることはなかった。「メディアの情報もなかった」という中、今年1月、突然の連絡が大使館から入った。「今すぐにでも帰るべき。帰国してください」。

 日本で待つ両親や友人から「侵攻が始まる」と聞かされたが、「それでもまだ、信じられなかった」。キーウの市民も「まさか戦争なんて」と気にする様子もなかった。日本人留学生と話し合い、悩んだ結果、「念のため。心配を掛けたくない」と帰国を決めた。「じきに戻って来られる」と別れのあいさつはせず、荷物も置いて寮を出た。飛雄馬さんは友人を頼ってルーマニアに移り、帰国せずにバレエを続ける選択をした。

 2月11日に出国。13日に帰国した。新型コロナウイルス感染防止のため自宅待機となる中、ウクライナ情勢を伝える連日の報道を目にした。「まさか」。同24日に侵攻が始まり戦火が激しさを増すと、キーウの様子も映し出された。見慣れた街からは人が消えていた。「先生は、友達は」。メールで連絡を試みると、女性の担任から「避難して今は大丈夫」と返事があった。男性の指導者は出国を禁じられているが、「弟を通じて無事と分かった」と胸をなで下ろした。

 現在は自宅での練習の他、徳島の教室へ週2回のペースで通う。「自分にできることは」と考え、富山県砺波市で今月10日にあったチャリティーコンサートへ出演した。「みんな願いは同じ。前の幸せな日常を取り戻すこと」と、祈る思いで日々を過ごす。「ウクライナは私の思い出が詰まった国。必ず戻って卒業できる」と念じる。

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