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「地元の環境に合う」と栽培を続ける「さちのか」を見回る山城克己さん=洲本市五色町上堺
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「地元の環境に合う」と栽培を続ける「さちのか」を見回る山城克己さん=洲本市五色町上堺
頭上に広がるイチゴの栽培棚をバックに写真を撮る観光客=淡路市野島常盤
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頭上に広がるイチゴの栽培棚をバックに写真を撮る観光客=淡路市野島常盤

 淡路島内のイチゴ産地・兵庫県洲本市五色町で、脱サラ就農20年の夫婦が手掛ける品種が、口コミで人気を呼んでいる。淡路市の耕作放棄地では、農業法人が3年前に開業した摘み取り体験施設が、交流サイト(SNS)を見た観光客でにぎわっている。島の環境で育まれたイチゴが今、人を引きつける。

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 ハウス内に甘い香りが漂い、つややかな赤い実が成っていた。洲本市五色町上堺の山城農園は、ビニールハウス3棟(計約2300平方メートル)で年間約6トンを収穫する。個人農家としては平均的な量という。

 あるじの山城克己さん(56)と妻の裕三子さん(54)は以前、宝塚市で暮らしていた。克己さんが約15年続けた会社員生活に疲れを感じ、就農支援の広告を目にして「イチゴを作ろうと、ぱっとひらめいた」。加西市にある県立農業大学校の講座へ。五色町で花の栽培に使っていたハウスに空きがあると紹介され、移り住んだ。

 育てる品種は「さちのか」1本。最初の10年間で約10種を試した末、定着した。「イチゴは冬と春の収穫で甘さが変わることが多いが、さちのかは安定しやすい。濃い赤色に仕上がり、見た目も良い」と山城さんは利点を解説する。「冬に氷点下まで気温が下がるなど、適度に冷え込む五色の環境に合っていたのだと思う」と話す。

 数年前から口コミで評判が広まり、問い合わせが増えた。唯一の卸先である市内の小売店では、入荷日に納品しにいくと、客が到着を待っていることもあるという。この他は農園での販売と摘み取り体験のみ。全て売り切れる。島外から毎月、購入しに来る客もできた。

 おいしいイチゴを追求し、地域に根付いた。夫婦は「期待値が上がるのはプレッシャーだけど、摘み取り体験の子どもがイチゴを口に入れた瞬間、喜んで踊り出す様子を目にして励みなる」と、歩み続ける。

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 淡路市野島常盤の農食観光施設「グリナリウム淡路島」にある摘み取り体験施設「いちごピクニック」は、ブドウ棚ならぬイチゴ棚を売り物にしている。約2500平方メートルのビニールハウスの中で、観光客は頭上に実ったイチゴをもぎ、棚の下にシートを広げて食べる。

 運営会社「淡路の島菜園」は、08年に愛知県から移住した大森一輝さん(45)が社長を務める。自身でトマト栽培を始め、14年に法人化。耕作放棄の農地を借り、19年に開業した。

 「観光といえばイチゴ」と、新しい方法を試した。イチゴ棚は見た目が注目されがちだが、上からつるすため通路を設ける必要がなく、収量増効果もある。

 客層は家族連れ、カップルなど幅広い。ピクニック責任者の松浦啓介さん(29)は、「SNSの投稿写真を見て来る人がいる。お客がお客を呼んでくれている」と話す。イチゴ狩りの新形態が島を盛り上げる。(中村有沙)

【バックナンバー】
(3)淡路島の固有品種、復活へ一歩
(2)「君の街には何があるのか」尋ねられ、淡路の食材へ思い強める
(1)純淡路島産ワインで夢を追う

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