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母乳ケアの相談者にアドバイスを送る藤岡勢子さん(左)=さくら助産院
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母乳ケアの相談者にアドバイスを送る藤岡勢子さん(左)=さくら助産院
開業した助産院と藤岡院長(右)、助産師の木佐貫香寿恵さん=さくら助産院
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開業した助産院と藤岡院長(右)、助産師の木佐貫香寿恵さん=さくら助産院

 産科不足の淡路島で唯一の助産院が開業し、今月10日夜に1件目のお産があった。兵庫県淡路市志筑新島の「さくら助産院」。病院勤務から転身した助産師の藤岡勢子さん(33)=同市=が院長を務め、「選択肢を提供していきたい」と話す。(内田世紀)

 助産院は、助産師が開業する分娩(ぶんべん)施設。医師は常駐せず医療行為はできないが、お産の介助だけでなく妊婦健診や産後ケア、新生児の保健指導なども行う。かつては自宅などで開業し、戦後の医療法施行で開設の方法などが定められた。淡路県民局の担当者は「数十年、島内で助産院の開院は記憶がない」という。

■「諦める」声聞き

 現在、島内で出産ができる病院は県立淡路医療センター(洲本市)のみ。2012年に聖隷淡路病院(淡路市)が産科を開設したが、16年に洲本市と南あわじ市の病院が相次いで出産受け入れを停止した。19年には聖隷淡路病院も産科医不足のため分娩を休止した。21年、淡路医療センターが兵庫の県立病院で初めて、「院内助産」制度を導入した。

 20年度の淡路医療センターの分娩数は約660件。一方、藤岡さんは「島外に出ての出産が年間300件ぐらいある。2人目、3人目を諦める、という声も聞く」と話す。助産院の運営について、「メリットは産前産後のケアの手厚さ。新型コロナウイルス禍を受けて病院の立ち会い出産は制限されているが、感染対策を徹底して家族で見守れるようにする」と強調する。

■自身の体験

 藤岡さんは淡路市出身。洲本高校でバレーボールに打ち込み、卒業後は看護師を志して広島の大学に進んだ。2年生の時、生理痛に悩み、婦人科を受診した。「女医さんを探して知らない土地まで行った」

 だが、予想と現実は違った。「女同士だからなのか、さばさばした対応で印象が悪かった。これが出産だったらトラウマ(心的外傷)になってしまう」。助産師の資格も取ることにした。「人生最高の幸せな瞬間が、つらい思い出にならないように」と考えた。

 大学卒業後、神戸市の専門学校に進んで助産師となった。産科に力を入れる同市の病院で経験を積み、帰郷して聖隷淡路病院へ。産科が休止するまで3年間務めた。その後は神戸徳州会病院(神戸市)で産科の立ち上げに携わった。

■月10件目指す

 助産院は昨年初めから準備した。大型商業施設や文化ホール、図書館などがある志筑新島で空き店舗を紹介され、計画が進んだ。

 院内は、畳に布団を敷いた分娩室2室のほか、新生児室や入院用の病室で構成する。緊急時に蘇生を行う機器を備え、家族で宿泊できる「ファミリールーム」の整備も予定する。

 助産師は藤岡さんのほかに2人が常勤し、お産の時だけサポートする助産師も確保する。当面は月に4件ほど、軌道に乗れば月10件の分娩を見込む。医療行為が必要な緊急時に備え、聖隷淡路病院の産婦人科医師2人と嘱託医契約を結び、淡路医療センターや島外の医療機関とも連携する。

■一家で立ち会い

 最初の利用者は、淡路市の地主可奈さん(34)。三女を出産した。長女を聖隷淡路病院で、次女を高知市の産科で里帰り出産している。第3子を妊娠した頃、交流サイト(SNS)でさくら助産院を知り、藤岡さんと話し、「自然に近い形で生みたい」と決めた。

 夫と子どもら家族4人が立ち会った。来院から約1時間20分後に産まれる安産。夫が三女を抱き上げ、長女がへその緒を切った。可奈さんは「家族に対するサポートもあり、安心できた」と話した。藤岡さんは「信頼関係づくりを心がけた。一家で赤ちゃんを迎える光景に心が震えた」と祝福した。

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