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洲本インターチェンジ付近から先山を望む。ナラ枯れにより手前の山の木がまだら模様に変色している=9月4日、洲本市上内膳
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洲本インターチェンジ付近から先山を望む。ナラ枯れにより手前の山の木がまだら模様に変色している=9月4日、洲本市上内膳

 この夏、兵庫県の淡路島内各地で山肌の木々が所々赤茶色に変わる現象が多く見られた。昆虫が運ぶ菌に感染した木が枯死する「ナラ枯れ」で、県などの調査では「これまでで最も深刻」という。景観の悪化に加え、専門家は「道路や家屋の近くでは倒木に注意が必要」と呼びかける。なぜこんなことになったのか。(内田世紀)

 ナラ枯れは、カシノナガキクイムシ(カシナガ)が媒介する「ナラ枯れ菌」が樹内でまん延し、樹木が通水障害を起こして枯死する伝染病。さらに木の中で羽化した虫が6~8月に飛び立ち、菌を運んで被害が拡大する。

 伝染した木は夏ごろから葉が変色し枯死する。感染するのはブナ科の植物で、島内では里山に多いコナラやウバメガシ、クヌギなどに見られるという。

■人の関わり

 ナラ枯れに詳しい県立大大学院緑環境景観マネジメント研究科(淡路景観園芸学校)の澤田佳宏准教授(53)によると、全国的には2000年ごろから確認されるようになった。県内では日本海側で散発的に発生。その後南下しながら拡大したという。

 淡路島では18年、島の北部などで初めて見つかった。澤田准教授が行った被害の分布を調べるメッシュ調査では、18年に6地点、19年には77地点、20年には200地点以上と、急速に増加。諭鶴羽山の山頂付近では、県指定天然記念物のアカガシ群落でカシナガ被害が確認された。

 今年の拡大を受け、県は島内3市と連携し、9月上旬に島内全域で目視調査を行った。洲本市の先山から五色地域にかけての山間部や、島の西側で多く確認されたという。

 感染が広がった原因について、澤田准教授は「木を切ってまきを使う暮らしが衰退し、人と山との関係が希薄になったためでは」と推測する。若い木よりも成長した木や老木に多くの感染が見られるといい、「以前なら切られていた木が森林に残るようになった。虫が住みやすい環境がつくられたのかもしれない」と指摘する。

■終息に5年

 ただ、このまま感染が広がり続けるのかといえば、そうではないという。澤田准教授は「感染が広がった森林を区画ごとに見ると、3割ほどの木が枯れるが5年ほどで終息している。全滅するわけではなく、抵抗力のある木が残ると考えられる」と話す。

 ナラ枯れによる景観の悪化が懸念される一方、枯れ木の倒木による被害にも注意が必要だ。「道路や歩道、民家の近くでは、倒木による人的被害も想定される」と澤田准教授。県立淡路島公園(淡路市)では、9月の台風接近後に遊歩道に倒れかかった多くの枯れ木を除去したという。

 感染予防や虫の駆除には、木にビニールを巻いて侵入を防ぐ方法や、薬剤による殺虫などが考えられる。感染対策や枯れ木の除去にかかる費用について、淡路市農林水産課の担当者は「県の森林に関する補助事業などを活用できないか検討している」と話す。

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