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避難訓練で生徒に指示する長瀬大空教諭=17日午後、南あわじ市広田中筋
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避難訓練で生徒に指示する長瀬大空教諭=17日午後、南あわじ市広田中筋

 亡き人の記憶は鮮明に。阪神・淡路大震災から28年となった17日早朝、兵庫県淡路市小倉の北淡震災記念公園であった追悼事業で、遺族や住民約60人が地震発生時刻の5時46分に黙とう。最愛の家族や仕事の先輩へ、鎮魂の祈りをささげた。

 0歳で阪神・淡路大震災に遭い、当時の記憶はない。両親から、兵庫県西宮市で祖母が亡くなったと聞いた。南あわじ市・洲本市組合立広田中学校の社会科教諭長瀬大空さん(28)=宝塚市出身=は、こうした境遇の震災遺族だ。2017年から勤める淡路島で「子どもたちに経験を伝えていくことが役目の一つ」と話す。学校の防災担当として、17日の避難訓練にあたった。

 28年前の1月17日、両親ら同居の家族は無事だった。しかし、母方の祖母川口里枝さん=当時(53)=が住んでいた西宮のマンションは1階部分が崩れ、2階にあった里枝さんの部屋も上階に押しつぶされた。

 母、姉と共に数日前から里枝さん宅に滞在予定だったという長瀬さん。「風邪気味だった祖母から止められて断念したようです。行っていれば私は今、ここにいないかもしれません」

 喫茶店を営み、快活な人だったと母から聞いた。がれきから遺体を運び出すため、店の常連が手を貸してくれたという。父方の祖母も物心の付く前に病気で亡くし、「おばあちゃんの存在がなかったのが幼心にさみしかった」と振り返る。

 震災があったから教師を目指したわけではない。それでも、「自分は直接被災した最後の世代。家族を亡くした立場だからこそ生徒に伝えられるものがある」と考えている。里枝さんはたんすの下敷きになったため、寝室で家具を置く位置による危険性などを生徒たちに話している。

 17日の避難訓練は、南海トラフ地震による津波が川をさかのぼる想定で校舎の上階へ向かった。学校は島の内陸部にあるが、海沿いで地震に直面する生徒がいるかもしれない。「自分の命を守るために何ができるか。子どもたちが自主的に考えられるようにしたい」。祖母が守ってくれたとも思える命。大切さを伝える。

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