秋の気配が漂い始めたものの、まだまだ残暑は厳しい。暑い時季、子育て世代の間でちょっとした話題になっている問題がある。保育所で使ったオムツを持ち帰らなければならず、行政は子どもの健康管理のため帰宅後の“オムツチェック”を呼び掛ける。だが、「臭いが気になる」「荷物になる」といった不満もくすぶる。その一方で、保護者の負担軽減のため認可外保育所などでは施設内で処分してくれるケースもある。持ち帰りか、処分か-。それぞれの園に「オムツ事情」を聴いた。(前川茂之)
■オムツ部屋
西宮市内の公立保育所では、園児たちが使用した紙オムツを保管する部屋を用意。毎朝、保護者から預かったビニール袋などに使用済みのオムツを入れておき、帰宅時に保護者に返す。
紙オムツが普及し始めた数十年前から、市内全園で導入している制度といい、市保育幼稚園事業課は「排尿の回数や便の状態から、子どもの健康状態や体調を知ってもらうため」とその理由を説明する。
保育士歴35年以上の女性園長(56)も「2歳児からはトイレトレーニングもある。保護者とコミュニケーションを取るための貴重な機会にもなっている」と重要性を強調する。ただ、中には帰り道で捨ててしまう人もおり、自宅でのチェックが徹底されているかは不透明だ。
■産業廃棄物?
神戸市や姫路市などに尋ねると、公立保育所では、同様の取り扱いをしているところが大勢だった。私立の認可保育所でも同じ運用方法が多く、「使用済みオムツは産業廃棄物に当たり、処分費用がかかる」「廃棄まで数日間、園内で保管することを考えると、衛生面で問題がある」などの背景もあるようだ。
一方で、施設内で処分しているケースが多かったのは認可外の保育所。芦屋市内の施設責任者(62)は「オムツの持ち帰りは保護者の大きな負担になっている」と疑問を呈す。毎日、処分業者が引き取りに来ているといい、保護者とのコミュニケーションは「毎日、連絡帳に記録するなどして知らせており、問題ない」ときっぱり。保育料とは別にオムツ処分料を徴収するところもあった。
■洗って返却
布オムツを使う神戸市中央区の「聖ミカエル幼保連携型認定こども園」は、3台の洗濯機をフル活用。担当の職員を雇用し、洗って返すシステムを取る。藤本重美園長(75)は「お迎えに来る保護者はみんな仕事で重い荷物を抱えていて大変。布オムツは経済的だし、好評です」と語る。
持ち帰りの見直しを求める声に対し、西宮市の担当者は「保育所と保護者は事業者と顧客の関係ではなく、子どもを一緒に育てるパートナー。あまりに重い負担にならないよう注視はするが、理解を求めていきたい」としている。