衆院選2017
10月10日公示 10月22日投開票
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 9月30日夜、大阪市内のホテル。新党「希望の党」代表の東京都知事小池百合子が、民進党との合流に続いて放つ「第2の矢」を見極めようと、記者会見場は約200人の報道陣でごった返した。

 「『三都物語』とでも名付けましょうか。3都市はしがらみのない政治、身を切る改革、真の地方自治の推進で一致しました」

 日本維新の会代表の大阪府知事松井一郎、愛知県知事大村秀章と並んだ小池はこう切り出すと、衆院選でも「維新とは東京、大阪ですみ分けながら、改革の志を国会に届けようと確認した」と強調。松井も「政策的にほぼ一致しており、互いに最大限配慮しようと約束した」と応じた。本拠地・大阪では根強い支持を集めるが、東京で低迷する維新と、都知事選や都議選で圧勝したが、大阪には地盤がない小池。互いに利害が一致した格好だ。

 一方で東京、大阪以外のエリアは選挙調整をしないと明言。昨年と2013年の参院選で新人が相次ぎ選挙区の議席を獲得するなど、維新の「第2の牙城」である兵庫について言及はなかった。

 この会見直前には維新が兵庫3区(神戸市須磨、垂水区)で県内4人目となる公認を決め、一部の小選挙区では希望とぶつかる可能性が高まった。

 民進の公認を取り消され、希望に合流する候補予定者にとっても与党批判票が割れる厳しい事態。そのうちの一人が声を落とす。「それどころじゃない。そもそも選挙に出られないかもしれない」。

     □     ■

 3知事による会見の数時間前から、政党関係者らに1枚のリストが出回った。タイトルは「希望の党 第1次公認リスト案」。各地の小選挙区ごとに約50人の名が並び、民進前職の名前はゼロ。うち兵庫県内は3人。いずれもこれまで立候補表明していない人物で、民進出身の立候補予定者が既にいる選挙区も含まれる。

 小池は民進出身者の公認に関し、「安全保障や憲法観」を基準に選別する意向を示す中、兵庫の民進関係者の間ではなぜか「県内は全員大丈夫だろう」と楽観的な見方が大勢だった。

 出どころや真偽は不明だが、その期待を根底から覆すような文書。民進出身の候補予定者の一人は「選挙区を替える『国替え』を打診された人もいると聞く。出身地の兵庫にこだわる小池さんが一から候補を決め直す、との情報もある」と打ち明ける。「やはり恐ろしい人だ」

 わずか2日前、希望への合流を歓迎した民進県連幹部も一転して「前原(誠司)代表が無条件降伏したことが悪い」と憤る。民進のリベラル派でさらなる新党を結成する動きも。

 共闘を目指した民進にはしごを外された形の共産党も「憲法改定を宣言し、安保法制を容認する希望の党に『希望』はない」(党委員長志位和夫)と小池新党への批判を強める。

 既に県内全12選挙区で公認を決めているが、兵庫9区(明石、洲本、南あわじ、淡路市)で候補を立てる新社会党など、護憲・リベラル勢力での新たな共闘を模索し始めた。

 衆院選公示まで1週間余り。「仁義なき小池劇場」が急変させた構図の行く末はまだ見通せない。=敬称略=

(衆院選取材班)

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