部下への暴言で市長が辞職し、3月に出直し市長選があった兵庫県明石市で、選挙管理委員会事務局の職員6人の同月の平均残業時間が243時間だったことが市への取材で分かった。翌4月に市長、市議のダブル選があった姫路、芦屋市選管も、同月平均が約190時間だった。兵庫県内では2年前、川西市職員が公用車で死亡事故を起こし、衆院選による月200時間超の残業が発覚。過労が問題視されたが、参院選が近づく中でも改善が進んでいない実態が浮き彫りになった。
明石市では1月末、泉房穂市長が部下に「火付けてこい」と暴言を浴びせた録音データが明るみに。泉市長が辞職し、4月の統一地方選より前の3月に急きょ出直し市長選が組まれた。
3月の同市選管の体制は管理職2人を含め8人で、他部署からも数人の応援が入った。管理職と応援を除く6人の平均残業時間は、土日の出勤も含め月243時間に達し、総労働時間は約400時間。休みなく毎日約13時間働いた計算になる。4月も県議選と市議選の投開票があり、残業は平均174時間に上った。
明石市選管の佐野彰彦事務局長は「選挙は『できません』が利かない、役所のさがのようなもの。職員に大きな不調がなかったのがせめてもの救い」とする。
選挙による公務員の業務過多を巡っては、2017年10月の衆院選投開票日の前日、川西市選管の職員=自動車運転処罰法違反罪で起訴、休職中=が公用車を運転中に5人が死傷する事故を起こした。公判では、事故までの約1カ月間休みがなく、残業は約229時間に上ったと指摘された。
同じ月の残業について、神戸新聞社が兵庫県を含む県内42自治体の選管に尋ねた調査では、半数が平均100時間超だった。このとき最多の214時間だった姫路市では、統一選に備え今年4月は前年比6人増の14人を置いたが、残業が192時間に。同市人事課は「職員へのヒアリングで業務を見直したい」とする。
姫路市と同様、統一選で県議選と市長、市議のダブル選があった芦屋市も4月は、職員4人体制で残業が平均189時間だった。(小川 晶)