これほどまで民意の行方が見えづらい選挙も珍しいのではないだろうか。
与党の自民、公明が堅調に改選過半数を確保した参院選。兵庫選挙区も3年前の前回選と同じく、自公と維新の3党が議席を分け合う結果となったが、その内容はこれまでとは違った。
4月の大阪府知事・市長のダブル選圧勝を機に、追い風に乗った維新は、自民が兵庫選挙区で過去3回キープしてきたトップの座を奪取。兵庫での浸透ぶりを見せつけた。今回も新人を立てた公明は徹底した組織戦を繰り広げ、保守票の切り崩しも板に付いた。
何よりも3番手で辛勝を味わった自民の衝撃は大きい。安倍「1強」政治に対する一定の評価を得たが、維新や公明に保守票を奪われ、無党派層を味方に付けた立民にも脅かされた。
12年に1度の「亥年(いどし)選挙」は、統一地方選の疲れで地方議員の活動が低下し、直後の参院選に悪影響を及ぼすとされる。議員数の多い自民にとって不利と言うが、辛勝の理由はそれだけで説明できない。
世論の関心の低さも無視できない。座席順の入れ替えを要請しつつも、大きな変革までは求めなかった。有権者の半数以上が投票所に足を運ばなかった状況からも見て取れる。
兵庫ではこれで、憲法改正に前向きな自公と維新の「改憲勢力」が改選数の増えた同選挙区を独占した。改憲に向けてアクセルを踏むとみられる首相を後押しすることになる。
参議院は国会の行き過ぎを防ぐブレーキの役割も期待される「良識の府」。民意を託された3人にはより丁寧な議論を期待したい。(井関 徹)









