兵庫県内41市町のうち約4割に当たる16市町で弁護士が1人もいないことが、県弁護士会のまとめで分かった。多くが神戸市や阪神間、姫路市など都市部に集中する一方、県中北部では不足状態が続く。法的問題があっても相談や解決につながらず、専門家は「弁護士がいないため泣き寝入りせざるを得ず、力の差が左右する恐れがある」と警鐘を鳴らす。
国内に弁護士は約4万7千人(7月時点)いるが、三大都市圏に集中し、東京都だけで全体の約半数を占める。弁護士白書(2024年版)によると、人口1万人当たりでは東京都が16・12人と2番手の大阪府(5・72人)以下を圧倒し、県内(1・94人)など37県は1人台以下だった。
全国的に見れば東京に一極集中しているが、地方でも偏在は顕著だ。県内では神戸・阪神間などの瀬戸内側に集中し、中北部は過疎状態となっている。県弁護士会によると、県内で登録する弁護士1059人(7月時点)のうち、神戸市が629人、姫路市は140人などで、但馬や西播地域など16市町はゼロだった。
日本弁護士連合会は偏在解消に向け、所得を保証しながら任期付きで弁護士を派遣する「ひまわり基金法律事務所」を00年から地方に設置。過疎化の解消に一定の効果はあったが、後任がなく閉鎖に追い込まれたケースもあり、偏在を解決する根本的な対策は見いだせていない。
県弁護士会で過疎偏在対策に取り組む東泰弘弁護士(58)によると、司法修習生を同基金事務所のバスツアーに参加してもらうなど偏在解消対策を続けてきたが、「現状の維持が精いっぱい」と話す。
東弁護士もかつて丹波地域に法律相談のイベントに出向いた際、住民から「相談の機会をどれだけ待ちわびたか」と懇々と説明を受けた。一方で都市部では「事件が奪い合いの状態」になっているという。
東弁護士は「弁護士がいない地域では、地位など力の強弱で物事が収められている可能性がある」と指摘。弁護士の存在は「司法の場で解決できる認識をしてもらうきっかけになる」と話す。(竜門和諒)
























