イランが事実上封鎖するホルムズ海峡の安全確保を巡り、トランプ米大統領が各国に訴えていた艦船派遣要求を一転させた。同盟国の支持が広がらず、撤回に追い込まれたトランプ氏は不満をあらわにする。
19日には訪米した高市早苗首相との首脳会談が予定され、日本が不満のはけ口にされる恐れもある。
だがそもそも、米国とイスラエルによるイラン攻撃が招いた事態である。攻撃後、トランプ氏と直接会談する最初の主要国首脳として、首相の振る舞いは国際社会の注目を集めるだろう。「平和国家」としての日本に寄せられる信頼に関わる。トランプ氏の真意をただすとともに、一刻も早い停戦を促す役割を果たしてもらいたい。
まず、イラン攻撃が国際法に違反しているとの法的評価を明確にすることだ。その上で日本の法律に従ってできないことをはっきり伝え、理解を得る必要がある。トランプ氏におもねって攻撃支持を表明するような展開だけは避けねばならない。
会談でイラン攻撃には触れない方がいいとの声もある。しかし、「法の支配」を重視する同盟国として、言うべきことを言わないままでは、二転三転するトランプ氏の言動に振り回され続けることになる。
武力行使を目的とした海外派兵は憲法上、許されない。停戦合意前のホルムズ海峡の機雷除去は武力行使に当たる可能性がある。自衛隊法に基づく海上警備行動は警察権の行使にとどまり「国」への対処を想定していない。ホルムズ海峡の現状について政府は集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に該当しないとの立場だ。戦闘中の地域への自衛隊派遣は認められない。
今回は自衛隊派遣の判断を回避できたが、トランプ氏が今後どんな防衛協力を求めてくるか分からない。政権の独断ではなく、憲法と安全保障関連法などの枠組みに基づき、できること、できないことを国会で慎重に議論するべきである。
海峡封鎖による原油価格の高騰は世界を混乱に陥れている。米国内でも不満が高まり、中間選挙を控えたトランプ氏にも焦りがみられる。
最大の解決策は戦闘停止だ。イランと独自の友好関係を築いてきた日本が仲介役となる意思を伝えるなどしてトランプ氏に「出口」を提示し、停戦を働きかけることができるか。首相の外交手腕が問われる。
首相は首脳会談で、米国産原油の調達や米の次世代ミサイル防衛構想に協力する意向を示すという。だがトランプ氏はお構いなしに経済、防衛などで過大な要求を突き付けてくる可能性が否めない。国益を守るため、安請け合いは禁物である。
























