臨時国会がきのう開会した。高市早苗首相が所信表明演説で、物価高対策や国際情勢など当面の政治課題に対する基本姿勢を説明した。財源確保が懸念される飲食料品の消費税減税関連法案や、野党が強く反発する衆院議員の定数削減法案などが焦点となる。
高市政権は衆院選大勝で得た「数の力」を背景に、先の特別国会で改正皇室典範、国旗損壊罪法、副首都法などを十分な審議もなく成立させた。首相は国会対応について「反省点は特にない」と述べており、今国会でも独善的な運営に陥らないか危惧される。拙速な議論は厳に慎み、野党などの意見に耳を傾け熟議に徹するべきだ。
政府は、飲食料品にかかる消費税を来年4月から2年限定で8%から1%に引き下げ、働く中低所得者には所得連動の給付を導入する法案の成立を最優先させる構えである。
首相は消費税減税に関し「家計に少しでもゆとりを生み出したい」と強調したが、法案には給付の対象者や給付額は盛り込まれていない。年間5兆円規模の税収減の穴埋め策について「特例公債(赤字国債)に頼らずに確保する」とし、「ご心配には及びません」と言い切った。具体的な財源を示さないままでは財政悪化への懸念が増し、さらなる長期金利の上昇や円安を招いて減税効果が薄まりかねない。
参院は少数与党下で、野党の協力が欠かせない。首相は「そもそも消費税減税は野党の主張の中にも多く見られた」と述べ、賛同を求めた。だが野党は慎重姿勢を崩しておらず、先行きは見通せない。
首相は衆院議員定数削減法案の今国会での成立にも意欲を示した。法施行から1年以内に与野党協議会で結論が出なければ比例代表を45減らす内容で、自民党内にも慎重論がある。閣僚を出した日本維新の会は成立に固執するが、幅広い民意を反映する比例の削減は少数政党の切り捨てにほかならない。選挙制度の抜本改革を先に進めるのが筋だ。
首相は「政治とカネ」の問題には一切触れなかった。簗(やな)和生農相と関芳弘文部科学相ら派閥裏金事件に関与した議員を閣僚や副大臣に起用したが、全容解明と企業・団体献金の禁止を含む抜本改革に踏み込まない限り、国民の信頼回復は望めない。地元自治体の道路予算の恣意(しい)的な削減に言及した農相の任命責任も問われる。
野党は正念場だ。議会制民主主義を健全に機能させるには政策の一致点を見いだし、一体となって政権を追及できるかが鍵となる。政治に緊張感を取り戻し、「多弱野党」を抜け出す一歩とせねばならない。























