灘マンスリー
関西4府県で27店舗を展開する「コロッケと… 神戸水野家」。その本店(神戸市灘区水道筋3)が灘センター商店街にあるのをご存じだろうか? 製法は全店共通だが、「本店じゃないと味が違う」「昔ながらの懐かしい味を守っている」など、遠方から訪れる“1号店ファン”も多い。
「水野精肉店」として創業したのは1957(昭和32)年。お肉屋さんのコロッケとして人気を集め、現在では店名を「コロッケと…」に変え、兵庫県(20店舗)、大阪府(5店舗)、奈良、和歌山県(各1店舗)に計27店舗ある。
全店舗のコロッケは、国産の黒毛和牛を使用し、味付けや小判の形、大きさも創業当初から変えていない。本店では肉類も販売し、コロッケなどは、開業時から注文を受けて揚げるスタイルを貫いている。
阪神・淡路大震災では本店建物が傾き、営業再開のめどがなかなか立たなかった。途方に暮れていた従業員を助けたのは、通り掛かりの大工だった。「こんな時やからこそ、営業して地元の人たちを励ましたれ」と、工具を持ち出してゆがんだ柱を補強。従業員らも手伝い、夏には営業再開にこぎつけた。
約40年務めるベテラン従業員もおり、常連客が買い求める肉の部位は全て把握済みという。客が他店で買い物をする間、肉や総菜を一時預かることも。経営者の水野和哉さん(59)は「本店が愛される理由は従業員にある」と分析する。
本店店頭にせり出すテントの裏には、「水野精肉店」時代の看板が今も掲げられている。震災で被災した店舗から、持ち出したものだという。
水野さんは「今の時代『昔のまま』というのが難しく感じる時もある。だが、コロッケの作り方や味など本店で始めたことは変えるつもりはない。『変えないこと』に挑戦していきたい」と語る。(真鍋 愛)
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