きれいになりました!(「Dog サロン palm」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)
きれいになりました!(「Dog サロン palm」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)

「去勢で噛むようになり、トレーニングに出したらスパルタすぎて悪化してしまった柴犬」…そんな一文とともに投稿された動画が、SNSで注目を集めている。

投稿したのは、トリミングサロン「Dogサロン palm」(@mugitrimming)。噛み癖のある犬のトリミング動画などを発信し、SNS総フォロワー数21万人を超える人気アカウントだ。

動画に登場するのは、4歳の柴犬。飼い主によると、生後8カ月で去勢手術を受けたことをきっかけに、噛み行動が見られるようになったという。しかし、同サロンは「去勢と噛みつき行動の関連はあまり強くない」と指摘する。

「去勢をしても、しなくても噛む子は噛みます。必ずしも去勢が原因とは言えません」

SNS上では「扱い方が悪かったのでは」「人を信じられなくなったのでは」といった声も寄せられたが、実際にはその後のトレーニングが影響した可能性もあるという。飼い主の話では、訓練では口輪を使わず、胸ぐらをつかむような“スパルタな方法”が取られていたとのこと。

「恐怖で言うことを聞かせていた状態だったのではないかと思います」

こうした強い圧力によるトレーニングは、一時的に従わせることができても、結果的に恐怖心を強め、攻撃行動を悪化させてしまうケースもあるという。

■柴犬はなぜ難しい?「自尊心」と「距離感」

今回のケースに対し、「柴犬は難しい犬種」という声も多く見られた。同サロンによると、柴犬をはじめとする日本犬には、独立心が強く、特定の人にしか懐きにくい傾向があるという。

「和犬はもともと人にベタベタ懐くタイプではなく、水を嫌う子も多いです。シャンプーなどのケアも苦手なケースがあります」

さらに近年は、飼い主に対しても噛みつくケースが増えているといい、「懐いているかどうか判断が難しい場合もある」と話す。SNSでも「柴犬の自尊心は押さえつけると反発する」といった声が上がっており、力で抑え込むしつけに疑問を感じる人も少なくない。

■“噛み犬”を減らすために必要なこと

では、どうすれば噛み癖を防げるのか。同サロンは、子犬期の経験が重要だと指摘する。

「子犬のうちにいろんな人や環境に慣れさせることで、社交性がつき、人と暮らす環境に適応しやすくなります」

また、トリミングの観点からは「定期的に慣らすこと」も大切だという。

「月に1回など、コンスタントにトリミングに出すことで慣れやすくなります。逆に自宅で無理にやろうとすると、かえって嫌な経験になり、悪化するケースもあります」

■「原因はひとつではない」現場の実感

今回の投稿には、「犬の気持ちは分からない」「しつけても無理なこともある」といった現実的な声も寄せられた。犬の行動は、遺伝や環境、経験などさまざまな要因が複雑に絡み合っている。

「去勢が原因」と単純に結論づけるのではなく、その後の接し方や経験が大きく影響することもある。現場で多くの犬と向き合うトリマーの言葉は、犬との関係を見つめ直すきっかけを与えている。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)