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(3)客船 4月の修復完了に期待
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まだ寂しいターミナル
 五色の紙テープがたなびく中、中国人留学生や日本の大学生ら百二十人を乗せた外航フェリー「燕京号」が静かにポートターミナルを離れた。「元気でなー」「頑張ってこいよー」。デッキの上で手を振る人の姿が小さくなっていく。

 「うちの船客は震災前の七五%に回復してきた。今年はビザ発給が緩和されるとの情報もあり、中国からの観光客も期待できる」

 チャイナエクスプレスラインの北村浩一さん(50)。天津へ向かう白い船体をじっと見つめた。

 外航客船の発着拠点の神戸ポートターミナル。四隻の大型客船が同時に入港できたポートターミナルの岸壁は、震災で今年一月まで一カ所しか使えない状態が続いた。震災後の約四カ月間、大阪南港へ避難して発着を続けて神戸港に戻った燕京号など、定期ダイヤで動く外航フェリーが優先されるため、岸壁不足で客船が入港できないケースも少なくなかった。

 北村さんも「客船でにぎわうことがなく、ターミナルを訪れる人が少なくて寂しかった」と当時を振り返る。

 アジアとの距離が近く、京都、奈良など国際的な観光への交通便がよく、古くから多くの外国の豪華客船が寄港してきた神戸港。ここ数年来の円高、さらに震災でダメージを受け、一九九〇年の二十一隻から年々減り続け、九六年度はわずか四隻。震災前の九四年と比べても四割以下。

 また、昨年の客船入港数は日中間フェリーを含めても百四十隻足らず。年間二百隻以上の客船が入港していた震災前と比べて大きく落ち込んでいる。

 神戸ポートターミナル事務所所長の村井正さん(58)は「客船は、最近の情勢、神戸港の立地条件からみて、震災で減った分はいずれ戻るはず」といい、「春と夏だけとかシーズン限定でもいい。外航客船の定期クルーズを誘致できれば」と期待する。

 震災で神戸を訪れる外国客船が減っている半面、日本の客船が行う海外クルーズの人気は定着している。また、最近は韓国やシンガポールなどの船会社がアジア地域クルーズをするという計画もあがっている。

 四月にはターミナルと岸壁の修復がすべて終了する。北村さんは「ターミナルが船客と見送り客でにぎわう日が早く戻ってきてほしいですね」。世界に通じる玄関口”ミナト”が復旧する日を心待ちにしている。

1997/2/28
 

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