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(4)冷蔵倉庫 食料輸入は震災前水準に
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一部貨物は大阪回りも
 コンピューターで荷物の出入庫を管理する全自動倉庫。密閉された倉の扉が開くたび、ひやっとした空気とともに、冷凍食品を載せたパレットが、次々と荷受け場にお目見えする。フォークリフトが、十メートルほど先で待つトラックとの間をせわしく往復し、貨物を積み込んでいく。

 「いつも午前中は出庫待ちのトラックがずらりと並ぶ。食料品の輸入は種類も量も増えている。どことも震災前の水準に戻っていますよ」

 倉に入った貨物の出し入れを見やりながら、「兵食」会長の西村良隆さん(71)は復旧状況を説明した。

 冷蔵倉庫が扱う貨物はほとんどが食品。魚介類や肉類が中心だったが、最近は冷凍野菜が急増。カボチャにホウレンソウまでが輸入される。スーパーで売られる状態そのままの形で、輸入されるケースも多く、市民生活に密着した食品を扱う関係で、震災直後から順調な回復をみせている。

 震災当時は食品輸入の急増で、どの倉庫も史上空前の満庫状態。激しい揺れで保管していた食品が崩れて粉々になり、停電、断水などの被害にも見舞われたという。

 「倉には保冷力があるので、一週間以上は電気なしでも大丈夫。でも冷却用の水には苦労した。市民も水がない状態だったので、船で大阪港を何度も往復したり大変だった」と振り返る。

 神戸海運監理部によると、神戸市内の冷蔵倉庫は入庫量の約六割を輸入貨物が占める。一九九五年末ごろに震災前の水準に回復しており、神戸市内の九六年度の冷蔵倉庫の貨物取扱量は二十五万八千トン。震災前の二十四万九千トンを上回っている。

 同監理部倉庫課長の大場安彦さんも「冷蔵倉庫は、神戸港の海運業界の中で最も元気な業界と言っても過言でない」という。

 好調に輸入量を増やしている冷凍食品だが、必ずしも神戸港を経由しているわけではない。水先人を必要とする強制水先制度では、神戸港が三百トン以上の外航船を対象とするのに対し、大阪港は一万トン以上。基準の格差などが影響し、大阪で荷揚げし神戸まで陸送した方が、神戸で直接荷揚げするより安いケースがあるという。実際、一部の貨物は大阪回りで運ばれてくる。

 西村会長は「今の状況からみて、輸入食料品はこれからも増えると思う」といい、少し息をついてこう話した。

 「神戸は機能的には申し分のない港。港のトータル料金をせめて大阪並みにできれば、入港船が増えてもっと活性化するはずです」

1997/3/1
 

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