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インタビュー1・17から 震災20年へ

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「阪神・淡路大震災は今も、都市部の地震の被害想定や対策の基礎になっている」と話す阿部勝征さん=東京都千代田区、地震予知総合研究振興会
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「阪神・淡路大震災は今も、都市部の地震の被害想定や対策の基礎になっている」と話す阿部勝征さん=東京都千代田区、地震予知総合研究振興会

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「阪神・淡路大震災は今も、都市部の地震の被害想定や対策の基礎になっている」と話す阿部勝征さん=東京都千代田区、地震予知総合研究振興会

「阪神・淡路大震災は今も、都市部の地震の被害想定や対策の基礎になっている」と話す阿部勝征さん=東京都千代田区、地震予知総合研究振興会

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 阪神・淡路大震災は、地震に関する啓発の在り方を学者や国が反省し、見直す契機になった。

 「関西に地震は来ない」という考えが広まっていたことにショックを受けた。確かに関西は東日本に比べて地震が少ない。しかし、歴史を振り返れば大きな地震は何度も起きている。

 震災9日前の1995年1月8日、神戸新聞1面のコラム「正平調」でも「いつマグニチュード(M)7級が起こってもおかしくない」と警告していた。

 「正しく知って正しく備える」ための啓発が不足していた。地震学者は基礎的な研究だけでなく、被害軽減の役割を期待されている。阪神・淡路以後、そのことを多くの学者が意識するようになったと思う。

 阪神・淡路を機に、日本では地震観測網が急速に整備された。今、世界的にみて最も進んでいる。

 しかし、東日本大震災では無力感にとらわれた。学問の限界さえ感じた。当時、政府の地震調査委員会で委員長を務めていたが、日本でM9・0の地震が起こると想定していなかった。

 自然に対して謙虚であれ、と自分に言い聞かせてきたはずなのに、一定の考えの枠組みにとらわれていた。「想定外」ではなく、想定できなかったことを反省しなければならない。

(聞き手・磯辺康子)

    ◇    ◇

 阪神・淡路大震災当日、テレビ局のヘリで東京から被災地へ飛んだ。そのときの印象は。

 「街が壊れた」と。都市直下の地震はこういう被害になるのだ、と実感した。同じ都市直下では1948年の福井地震があるが、まだ空襲の傷痕が残っている時代だった。ただ、こうした被害はメキシコなど海外で見てきており、想定外というわけではなかった。

 

 日本はどこでも大地震が起こりうる、という知識が広まっていなかった。

 その反省から、政府は1995年、総理府に地震調査研究推進本部(現在は文部科学省)を設置し、啓発を進めてきた。19年前は震度7を機械でなく、建物の損壊割合を調査して決めていた時代。地震観測点は気象庁と大学を合わせて200カ所程度だったが、震災後、防災科学技術研究所(茨城県)が全国を網羅する形で約千点新設した。今、日本ほど高密度の観測網を持つ国は世界にない。

 

 観測網整備の成果は。

 緊急地震速報の導入はその一つだ。人が感じないゆっくりした地震(ゆっくり地震)など、これまで考えられなかった地下の変動も分かってきている。今はまだ一般の人の生活に直接関係するものではないが、さらに新しい現象が見えてくるという期待はある。

 それでも、東日本大震災が発生し、再び多くの命が奪われてしまった。

 マグニチュード(M)9・0という地震は想定しておらず、大変な無力感に襲われた。日本ではM8クラスの地震しか起きないと考えていた。過去に発生していないような地震は起きないという考え方にとらわれ、その先の思考が停止していたと思う。

 東海地震に限って直前予知が可能とされているが、困難ではないか。

 予知は挑戦に値するテーマ。早々に「できない」と決めつけず、研究は続けるべきだ。地震は地球の内部で起こるため、分からないことが多い。体で感じても目には見えない。それが大きなハンディ。しかし、科学には夢が必要だと思う。

 阪神・淡路大震災から間もなく20年になる。

 阪神・淡路の特徴は、死者の8割以上が壊れた建物によって亡くなったということ。最大の教訓は、建物が壊れなければ死者を減らせるということだ。しかし20年近くたち、関西でさえ教訓が風化していないだろうか。備えの意識を持ち続けてほしい。

 南海トラフ巨大地震への備えも欠かせない。

 津波が来れば、2メートルでも木造家屋は破壊される。津波は波ではなく、水の壁。そういう理解をしておかねばならない。

 防災は、情報の出し手である学者、受け手である国民の間に立ち、情報の流し手となるマスコミの役割が重要。繰り返し、息長く防災について伝えてほしい。

 記事・磯辺 康子 写真・佐々木彰尚

 あべ・かつゆき 1944年、東京都出身。東大地震研究所教授などを経て、現在、地震予知総合研究振興会理事長。2006~12年、政府の地震調査研究推進本部に設置されている地震調査委員会で委員長を務めた。東京都在住。

2014/4/20

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