神戸市西区の複合産業団地、神戸テクノ・ロジスティックパーク。巨大倉庫は、2段の専用ラックに並んだバイクで埋まっていた。ホンダなど国内大手がアジアの工場で生産した完成品だ。国内向けに輸入され、神戸港から陸送されてくる。
倉庫の完成は2008年7月。管理する日本梱包(こんぽう)運輸倉庫(東京)の神戸営業所長林田守(42)は力を込めた。「関西はバイクの需要が高い。港や高速道路に近いことが進出の決め手になった」
現在、2ヘクタールの敷地を1ヘクタール拡張し、増築工事の真っ最中だ。
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主要港周辺で物流倉庫の建設が相次いでいる。円安基調にもかかわらず、輸入が増加傾向にあるためだ。神戸港の輸入額は4月まで16カ月連続で増加。アジアからの輸入増が目立つ横浜港は、輸入シフトを明確にしている。
約2万本のコンテナが山積みされた南本牧(みなみほんもく)ふ頭の一角。欧州航路で来た輸入貨物がトラックに載せられていく。冷凍コンテナも目立つ。
「横浜は神戸と同様に歴史ある港。荷役効率も良く、信頼度は抜群だ」。横浜港運協会(横浜市)会長の藤木幸夫(83)は可能性を強調した。
巨大消費地・東京に近い上、道路整備が進み、内陸部を中心に大型物流倉庫がこの5年で10施設ほど増えた。延べ床面積が、東京ドーム4・5個分という巨大倉庫もある。
「倉庫の増加は輸入貨物の保管機能の充実につながる」と横浜市港湾局。市と横浜港埠頭会社は、輸入貨物を増やした企業や、輸入貨物などを扱う倉庫に入る企業に対し、補助金を出し始めた。「港を使ってもらえてこそ」。神戸と同様の切実な思いがあった。
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「自治体はすぐに工場や商業施設を誘致したがる。(一定の雇用効果など)物流施設にもメリットがあることを知ってほしい」。米不動産プロロジス日本法人(東京)社長の山田御酒(みき)(60)は、尼崎市臨海部の倉庫で強調した。地上4階、延べ床面積約4万4千平方メートル。工具通販大手が在庫管理や発送に使う。
国内企業、外資が虎視眈々(こしたんたん)と狙う物流拠点。三木市の産業団地にはコストコホールセールジャパン(川崎市)が西日本の物流拠点を建設。吸い寄せられるように運送会社が内陸のコンテナ拠点を設けた。輸入食材などを運び入れる一方、周辺企業の輸出製品を港へ届ける。
消費者ニーズに応え、日夜、無数の貨物を集配する巨大倉庫。ミナトへの波及効果に期待が高まる。
=敬称略=
(石沢菜々子)
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〈増える物流施設〉 プロロジスは尼崎市(3拠点)、川西市、神戸市西区などで整備。シンガポール系のGLPは、西宮市や神戸市西区で建設を進める。不動産投資会社センターポイント・ディベロップメント(CPD、東京)は休止したパナソニック尼崎第3工場を買収する。
2014/6/28