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堀内正美(左)から代表理事を引き継いだ藤本真一。息の長い活動を目指す=神戸市兵庫区(撮影・宮路博志)
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堀内正美(左)から代表理事を引き継いだ藤本真一。息の長い活動を目指す=神戸市兵庫区(撮影・宮路博志)

堀内正美(左)から代表理事を引き継いだ藤本真一。息の長い活動を目指す=神戸市兵庫区(撮影・宮路博志)

堀内正美(左)から代表理事を引き継いだ藤本真一。息の長い活動を目指す=神戸市兵庫区(撮影・宮路博志)

 「活動に関心を持つ人が減っている」

 6月下旬、神戸・三宮の東遊園地で開かれた認定NPO法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯(あか)り」(神戸市兵庫区)の総会。代表理事として奔走してきた俳優の堀内正美(64)が、メンバーに積年の思いをぶつけた。

 12年前、遺族や被災者を中心に発足した。毎年1月17日、同遊園地で開かれる追悼の集いに合わせ、遺族らの交流の場を設ける。遊園地内のガス灯「1・17希望の灯り」の清掃や、モニュメントを巡るウオークも続けてきた。

 会員の多くは今、70代以上だ。参加者が固定化し、寄付金も年々減少。先細りする活動に、堀内は危機感を強めていた。

 総会では、東日本大震災を機に入会した会社役員藤本真一(30)=同市北区=が堀内から代表理事を引き継いだ。藤本は小学4年で震災を経験。自宅の被害はなかったが、父親に「よく見ておけ」と激震地に連れて行かれた。

 「高齢の会員が元気なうちに経験や知恵を受け継ぎ、長く続ける仕組みをつくりたい」

 今回、東日本の後に入会した20~40代の3人も理事に就任。継承の一歩として、被災者に経験や思いを聞き、映像に残す取り組みも始めた。震災20年までに、10人程度の聞き取りを目指す。

 兵庫県は本年度の予算で、震災20年関連の事業に約8億3千万円を計上した。「県民総参加」を掲げ、予算の4割以上を市民団体の継承活動などへの助成に充てる。

 ただ、事業を担う職員に震災を知らない世代が増えている。庁内での経験の継承は急務で、2012年度から、係長対象の研修などでOBらが震災当時の状況を語る。

 「東日本の被災地などでは、兵庫県の職員というと期待される。阪神・淡路当時、一線で判断を迫られた人々の経験をしっかり受け継いでおかなければならない」と、県自治研修所所長補佐の梶本修子(なおこ)(50)は話す。

 阪神・淡路後の採用が職員の約半数を占める神戸市も、13年度から「20年以後」を見据えた取り組みに本腰を入れる。

 係長5年目の研修では、震災の経験継承について議論する場を設けた。新人職員は先輩から震災当時の課題などを聞き、報告書にまとめる。

 兵庫県警も12年12月、警察学校(芦屋市)や各署などでベテランが経験を伝える「語り部制度」を始めた。現在45人が登録している。

 神戸市の震災20年事業を統括する同市総合計画課の藤岡健(45)は「震災10年は復興を発信する年だった。東日本大震災を経た今、かつての被災地として何ができるかが問われる」と話す。

 被災自治体としての責任をどう果たすのか。震災20年は、市民の継承を支えるだけでなく、復興を担ってきた自らの姿勢を見つめ直す節目でもある。=敬称略=

(黒川裕生)

=第2部おわり=

2014/7/19
 

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