連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

限界住宅 支え合うためには

  • 印刷
コミュニティ春日野のお茶会。参加者は増えない=神戸市中央区脇浜町3(撮影・中西幸大)
拡大

コミュニティ春日野のお茶会。参加者は増えない=神戸市中央区脇浜町3(撮影・中西幸大)

コミュニティ春日野のお茶会。参加者は増えない=神戸市中央区脇浜町3(撮影・中西幸大)

コミュニティ春日野のお茶会。参加者は増えない=神戸市中央区脇浜町3(撮影・中西幸大)

 9月半ばの昼下がり。神戸市中央区の復興住宅「コミュニティ春日野」で、月に1度のお茶会が開かれた。

 集まったのは住人で管理人の坂上久(79)のほか、高齢女性が4人。1人暮らしの諏訪ハルミ(87)は「いつも来ていますが、さみしくなりましたねえ」とつぶやいた。

 お茶会は、神戸市の見守り推進員と民生委員が坂上と協力し、4年前から開いている。当初は十数人来ていたが、今では5人ほどしか集まらない。

 市から補助金が出る事業で、3年すれば住民の自主開催につなげるのが狙いだ。だが、4年たった今も「任せられる人がいない」。推進員の前田初恵(48)がため息をつく。

 見守り推進員は阪神・淡路大震災後、仮設住宅で「孤独死」が社会問題化したことを受け、神戸市が2001年に創設した。中学校区に一つ見当、75カ所ある地域包括支援センターに77人を配置。復興住宅だけでなく、地域の単身高齢者らの相談に応じている。

 創設間もない03年に推進員だった社会福祉士の奥矢登世子(とよこ)(46)は「当時は自治会が中心になり、お茶会の日には『みんな集まろう』と声かけをしてくれた。住民が団結していた」と振り返る。

 今では、催しの継続さえ危ぶまれる。認知症や体調の悪化が進み、欠かさず来ていた人が扉を閉ざすようになった。

 980戸が入る復興住宅団地「ベルデ名谷」(神戸市垂水区)などを担当する推進員、岩崎佳宏(38)も危機感を強めていた。

 ここ5年で相談件数が2倍近くに急増。「部屋に人が入ってくる」。幻覚症状に襲われた高齢女性から1日に10回も電話が来たことがあった。「閉じこもるうち精神疾患にかかり、自分では気付かないケースも多い」と指摘する。

 財源も揺らぐ。震災から20年となり、兵庫県などが設立した復興基金や、国の被災高齢者支援事業が終了時期を迎える。

 「『見守り』という考え方が生まれたのは震災から」

 神戸市介護保険課係長の奥谷由貴子は振り返る。避難所、仮設、復興住宅。地域から高齢者が切り離されるたびに新たな取り組みが生まれ、「未来を先取り」と言われた。

 奥谷は続けた。

 「行政だけでは限界。住民同士だけでも限界。例えば、新聞配達や宅配業者など異変に気付く人を一人でも増やし、『ゆるやかな見守り』を広げるしかない」

◆  ◆

 いま、復興住宅の入居が本格化する東北。阪神・淡路の経験は生かされているのだろうか。=敬称略=

(上田勇紀)

2014/11/12
 

天気(9月29日)

  • 29℃
  • 23℃
  • 10%

  • 30℃
  • 20℃
  • 20%

  • 29℃
  • 22℃
  • 10%

  • 29℃
  • 22℃
  • 10%

お知らせ