垂水マンスリー
目の前に広がる大阪湾。その先には、明石海峡大橋で結ばれた淡路島が見える。ひっきりなしに行き交う大型船が、海上交通の要衝であることを証明している。さて、私はどこに立ってこの景色を望んでいるのでしょう。実はここ、兵庫県内最大の前方後円墳「五色塚古墳」。神戸市垂水区には著名な遺跡が点在する。その昔、五色塚古墳の近くに住んでいたという垂水区のゆるキャラ「ごしきまろ」と一緒に区内の遺跡を巡ってみた。(坂山真里緒)
「五色塚-」は、四世紀後半に造られたとされる。1965年から10年の歳月をかけ、発掘調査と復元工事を行った。古墳をここまで厳密に復元したのは「五色塚-」が初めてという。
区内で最も突き出た場所に位置し、明石海峡を一望できることから、同海峡と周辺を支配した豪族の墓と考えられている。葺き石に淡路産の石が使われ、置かれた埴輪と同じタイプが明石市や灘区でも見られる。そのことも、一帯を監督する立場であったことを示している。古墳の頂に立つごしきまろを見ながら、当時の豪族に思いをはせる。
今回、遺跡巡りを前に話を聞いた市埋蔵文化財センター(西区)の斎木巌さんは「行き来する船からも、古墳は敷石でキラキラして見えたと思う。その存在感で大陸から来た人たちを威圧していたのでは」と話し、こう付け加えた。「想像ですが」
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続いて西へ1キロメートル。JR舞子駅前の松原に、埴輪をひつぎに利用した埴輪棺が出土された「舞子浜遺跡」がある。60年、下水道工事中に偶然、発見された埴輪棺。老若男女問わず葬られたひつぎには、「五色塚-」と同じ埴輪が使われているそう。ここに眠るのは豪族と関わりのあった人たち? 歴史の1ページが目に浮かぶ。今、歩いている足の下にも、まだ埋葬されたひつぎがあるかもしれない。「失礼します」。そっと心の中でつぶやく。
遺跡巡りは続く。すぐ西の「明石藩舞子台場跡」。江戸時代、ロシアからの襲撃に備え、舞子に台場が築かれることに。勝海舟の指導の下、施工され、今も石積みの一部が残っている。150年以上もの時を経て、当時の石積みを目にすることができるとは感慨深い。ちなみに大砲型のベンチは置かれているが、この場所、実際に大砲は据えられなかったらしい。
区の西に位置する大歳山遺跡公園には竪穴建物が。年に1度の祭りでは、一般公開もされる。古代の人たちの暮らしを想像してみてはいかが。今年の「おおとし山まつり」は11月4日に開催。火起こし体験や衣装を着て古代人になりきれるコーナーもある。
舞子古墳群に多聞古墳群。JR垂水駅周辺では、約8千年前の縄文人の足跡も発見されている。ここの地下には何が? 垂水区をそんな思いで歩くのも興味深い。
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