論ひょうご

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 駅に学校、コンビニから住宅街に至るまで普及する防犯カメラ。行き交う車からは、ドライブレコーダーの目が光る。事あれば、スマホのレンズが一斉に向けられるはずだ。もはや街中に「死角」はないのかもしれない。

 張り巡らされた「監視網」は、犯罪捜査でその威力を発揮する。大阪府吹田市で先月起きた拳銃強奪事件では、防犯カメラの不審者映像が容疑者の割り出しに、複数のカメラ映像から足取りをたどる「リレー方式」が容疑者の発見、早期逮捕につながった。防犯カメラが市民生活の安心・安全に果たす役割を疑う人はほとんどいないだろう。だからと言って、喜んでばかりもいられない。

 市内全域に1475台の防犯カメラを設置する加古川市は2018年度、条例に基づき、加古川署をはじめ兵庫、大阪両府県の7署に計662件の映像データを提供した。犯罪捜査を目的に警察が場所、時間帯などを指定しデータ提供を要請。市の担当職員がUSBメモリーに移し替え、警察官に手渡ししている。

 緊急性の高い場合、事前申請なしにデータ使用を認める自治体もある中、市は「個人情報、プライバシーに関わるデータだけに慎重を期している」と話す。だが、提供後のデータの取り扱いとなると、途端に見えにくくなる。

 兵庫県警によると、防犯カメラの映像データをきっかけに犯罪の容疑者特定に至ったケースが、県内では昨年千件を超えたという。うち加古川市内は76件。しかし、具体的にどのデータが、どの事件の捜査に使用されたのかは、明らかにされていない。

 映像データ提供などに関して、市と加古川署が結ぶ協定は、目的が達成されれば「速やかに消去、記録された媒体の破砕」などにより「復元できないように処理しなければならない」と規定している。警察側もルールに従い扱っているとするが、捜査に使われたデータが既に廃棄されたのか、あるいは証拠として警察などに残されているのか。提供元や市民が検証する術がないのが現状だ。

 顔認証や人工知能(AI)、ビッグデータとの融合など、進化し続ける防犯カメラ。プライバシーの保護はなお一層難しくなりそうだ。データ提供などに関する統一的なルールづくりが急がれる。どのように使われているのか、絶えず目を光らせねばならない。

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