論ひょうご

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 聞き慣れない外来語がまたひとつ現れた。モビリティー・アズ・ア・サービス、略して「MaaS(マース)」。あらゆる交通手段の時刻表検索や予約、支払いをスマートフォンアプリで一度にできるようにして、一つのサービスとして提供しようという考え方だ。

 すでに北欧では先行例がある。国土交通省は今年を日本のMaaS元年と位置づけ、全国で19の先行事業を選び支援を決めた。うち2事業に兵庫が関わっている。

 神戸市北区筑紫が丘では、シンクタンクやバス会社、市などの協議会が山あいのニュータウンに自動運転車を走らせ、タクシーやバスとも連携して高齢者らの外出をサポートする。以前にも、自治会とともに実証実験をした蓄積がある地域だ。豊岡市から天橋立や福知山などを結ぶ京都丹後鉄道の沿線では、交通機関や観光施設、飲食店などの料金支払い、経路検索などを1個のアプリで可能にする。観光客にも住民にもメリットのある内容を目指す。

 ほかにも県内では神姫バスが中期経営計画にMaaSを掲げる。いずれも本格導入が待ち遠しいが、先行するフィンランドの首都ヘルシンキはさらに上を行く。スマホ検索や支払いに加え、定額制であらゆる交通機関を乗り放題にしたのだ。その結果、2016年の導入以来、自動車の利用は半減し公共交通は5割増えた。

 公共交通の衰退は、マイカーの普及が招いたというのが定説だ。だが駅やバス停の場所や時刻をいちいち調べたり、乗り換えのたび運賃が積み上がったりなど、利用者を遠ざける要因もあった。

 使う立場で不便さを解消し、乗り放題などのお得感をプラスすれば、定説を覆してマイカーから利用者を取り戻せる。ヘルシンキの例はそのことを証明した。

 社会生活に移動は欠かせない。高齢化や地球温暖化でいずれマイカーに頼れない時代が到来し、MaaSが世界的なビジネスに進化するとの読みだろう。日米欧で自動車や通信などの大手がこぞって関連事業に参入している。

 ただ会員制交流サイト(SNS)やスマホのように、一握りの企業が情報も収益も独占するような進化ならお断りだ。

 加齢や障害で外出が難しくなった人たちや、公共交通の衰退で活力を失った地域に、希望を与える進化形を日本が発信してほしい。それもできれば、兵庫から。

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