論ひょうご

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 「演劇」はまちづくりの起爆剤になりえるのか。豊岡市で今、壮大な社会実験とも呼べる取り組みが進んでいる。仕掛け人は世界的な劇作家、平田オリザさん。国際的な演劇祭を柱に、地域の経済や生活を活性化させる。その「第0回」が今月上旬に開かれ、全公演完売という盛況ぶりを見せた。

 モデルとするのは、フランス南東部の地方都市アビニョンで開かれている世界最大の演劇祭だ。平田さんの説明を借りれば、20作ほどの招待作品に加え、世界中から若い劇団が当地に集まり、夏の1カ月間に千近い上演が行われる。教会や納屋までが劇場となり、若い才能を各国のプロデューサーが発掘する場にもなっているという。豊岡演劇祭は、その「アジアで初の成功例」を目指し「5年でアジア最大、10年で世界有数の演劇祭を目指す」と力説する。

 その下地はある。豊岡市は現在、市内の全38小中学校で演劇を取り入れたコミュニケーション教育を実施している。他人を演じ、多様な価値観に触れることで、好奇心を刺激し「人との違い」を受け入れるセンスを育む狙いだ。

 また、同市の「城崎国際アートセンター」は、世界でも珍しい演劇やダンスに特化した滞在制作施設だ。稽古場やスタジオ、アーティストの宿泊部屋を備え、世界中の劇団から滞在制作の応募が絶えない。平田さんはセンターの芸術監督も務め、自身の作品づくりとともに、センターと各国の劇団とのコネクション形成も支援する。

 2021年には、日本で初めて演劇やダンスを本格的に学べる公立大学、県立国際観光芸術専門職大学(仮称)が豊岡市に開設される。学長候補の平田さんは、ここの学生にインターンの一環として演劇祭のスタッフなどを経験させ、彼らが本物に触れる機会にしたい、と未来を描く。教育、舞台、そして大学。演劇祭を軸に、すべてが大きくうねり始めている。

 本格開催前のプレイベントと位置付けた「第0回」の演劇祭は、4劇団が3日間で9公演を行い、1427人を集めた。ICチップを使ったリストバンド型チケットの導入や電気自動車の無料貸し出し、スマートフォンを使った循環バスの位置情報提供など、意欲的な試みもあった。課題を洗い出し、1年後にどんな姿で「第1回」を迎えるのか。そのとき、豊岡のまちがどんな表情を見せるのか。楽しみで仕方がない。

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