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 「おんせん県」を掲げる大分県別府市を訪れる機会があった。ちょうど韓国のお盆休み「秋夕(チュソク)」の連休(9月12~15日)と重なり、例年なら多くの韓国人旅行客でにぎわうが、今年は日韓関係悪化で宿泊予約は低調という。

 別府市を訪れる外国人観光客は年間約60万人。その約55%を占める韓国人客の急減に、「最近は韓国語がほとんど聞こえてこない」と関係者は悲鳴を上げる。

 神戸・有馬も悩みは同じだ。有馬温泉観光協会の金井啓修(ひろのぶ)会長によると、日帰りと宿泊客を合わせて年間約300万人が訪れるが、訪日客は約65万人で、韓国人が約3割を占める。金井さんが営む老舗旅館「陶泉御所坊」に、「秋夕」の連休に宿泊した韓国人は例年の4分の1にとどまるという。

 「温泉は平和産業。いろんな国の人々に来てもらってこそ。有馬は自らの魅力を高め、地道に伝えていく」と金井さん。韓国以外の海外客や国内客の誘致に力を注ぐが、影響の長期化を懸念する。

 話を別府に戻そう。この街には外国人の姿が日常に溶け込んでいる。風景を一変させたのは、来年開学から20年を迎える立命館アジア太平洋大学(APU)の学生たち。APUは、約6千人の学生のうち、アジアを中心とする世界91カ国からの留学生が半数を占める。最も多いのが韓国人だ。

 別府市は人口約11万7千人。うち18~22歳は約1万人、その6割がAPUの学生というから貢献度は高い。APUでは、留学生の1回生はキャンパス内の学生寮で暮らす。日本人の1回生も多くが入寮するため、留学生は共同生活を通じ、日本語のほか、日本の習慣やごみの出し方などのルールを学ぶ。アパートなどに転居する2回生の時には、地域に溶け込んで生活する素地(そじ)ができている。

 2018年に公募で学長に就いた出口治明さん(ライフネット生命保険創業者)は「学生は別府の街に育てられている。私たちも地域に貢献したい。地域が頑張らなければ、大学も元気にならない」と語る。学生らが観光産業で働くほか、外国人の卒業生が別府で起業する例も出始めている。

 日韓の政治的対立による影響が収束する兆しは見えないが、両国は市民レベルでは助け合い、学び合ってきた。交流を断つのではなく、成熟、拡大させる。多様性こそが関係改善の糸口になる。泉都・別府で、改めてそう感じた。

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