論ひょうご

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 昨年の夏は地震、豪雨、台風と自然災害が相次いだ。関西空港が台風21号で被災し物流がまひしたときは、兵庫県内の企業も代替ルートの確保に追われた。南海トラフ巨大地震の発生が予測される中、備えを改めて確認したい。

 自然災害や感染症の流行など企業が緊急事態に遭った際、事業を続けるための計画がBCPだ。帝国データバンクが全国2万社余りを対象にした意識調査によると、回答9555社のうち、BCPの「策定意向あり」(「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計)は、45・5%と半数に届かなかった。

 「策定意向あり」との回答を都道府県別にみると、高知が72・5%と全国トップ、和歌山が55・6%と同3位だった。南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定される地域の企業は、備えへの意識が高いことがわかる。一方、兵庫は43%、全国31位だった。阪神・淡路大震災から来年で25年を迎えるが、関心の低さが懸念される。

 調査では「BCPをつくるためのスキル・ノウハウがない」「人材を確保できない」といった策定できない理由が挙げられている。企業規模が小さくなるにつれ、策定率も下がる傾向だ。

 信金中央金庫の月報にこんな事例があった。パートを含め10人に満たない東京都内の酒販店だ。社長夫人の専務が商工会議所の講座で学び、自社の実情に合ったBCPをつくった。東日本大震災では来店客や従業員の安全を確保でき、商品の被害はほとんどなかった。法人客も含めて供給責任を果たせ、顧客の評判が向上した。

 事例を報告した信金中金地域・中小企業研究所の藤津勝一主任研究員は、自社に無理のない実効性あるBCPに取り組むことで、事業のあり方の再確認となり、環境変化に対応した「稼ぐ力」の向上にもつながると説く。

 国は先の国会で中小企業等経営強化法などを改正し、事前対策への支援を新たに盛り込んだ。兵庫県もBCP策定経費の直接助成制度を全国で初めて設けた。企業の背中を押す手だては整ってきた。

 藤津氏は「BCPへの取り組みの有無に最も影響するのは、業種や規模、経営資源の多寡ではなく、情報や知識、経験などからくる経営への取り組み姿勢や考え方の違いではないか」と指摘する。問われるのはリスクに対する経営者の認識である。

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