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 「丹波の赤鬼」が再び救世主として期待を集めている。

 「赤鬼」は現在の丹波市を中心に勢力を広めていた戦国武将赤井(または荻野)直正の異名だ。織田信長軍の丹波攻めの際、丹波篠山の波多野秀治と共に、当時、負け知らずの明智光秀を撃退。その後も抵抗を続け、光秀は丹波平定に5年を要することとなる。

 その勇猛ぶりから「丹波の赤鬼」「悪右衛門」と呼ばれ、甲斐・武田家の軍学書「甲陽軍艦」にも「名高キ武士」として徳川家康らとともに名を連ねる。

 2020年のNHK大河ドラマが、光秀を主人公にした「麒麟(きりん)がくる」に決定した。丹波市や地元は光秀、秀治に比べ知名度が低い直正を押し出し、観光客の誘致に躍起になっている。

 丹波市は直正、光秀、秀治の劇画風イラストを地元の作家に依頼。14年に作ったパンフレットを皮切りに、ポスター、のぼり、ペットボトル、自販機、土産用の菓子類、グッズなどに使っている。今年10月からは三田-三宮間の高速バスにフルラッピングして走る広告塔とする。デザインは必ず知名度のある光秀と秀治とセットにするなど抜かりはない。

 「丹波攻め」の歴史講座やシンポジウムも開講。地元能楽師は創作能「直正」を上演した。直正の居城黒井城の地元では、秀治の居城八上城の丹波篠山市、光秀ゆかりの京都府福知山、亀岡両市の市民団体などと連携し、全国への情報発信を模索する。

 黒井城の黒井地区は1989年放送のNHK大河ドラマ「春日局(かすがのつぼね)」で、主人公誕生の地としてブレークした。観光客は押し寄せたが放送終了とともに尻すぼみとなった。今回は2度目の波だ。丹波市観光協会の柳川拓三会長は「大河ドラマは一過性だが、この好機を生かさない手はない」と熱く語り、地域は活気づいている。

 兵庫県の「2017年度県観光客動態調査報告書」によると、日帰り、宿泊を合わせた総入り込み客数は全県で1億3904万7千人、うち丹波地域(丹波市・丹波篠山市)は3・3%の465万5千人。伸びしろは十分にある。

 国は「観光立国」を掲げ、観光を地域創生の柱としている。一瞬の追い風を受け、現代によみがえる戦国の雄「丹波の赤鬼」。地元の熱意と試行錯誤は丹波市の未来に何を残すのか。「赤鬼」の奮闘から目が離せない。

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