新型コロナウイルス患者の入院を兵庫県明石市内で唯一受け入れている市立市民病院(同市鷹匠町)の藤本莊太郎理事長(74)が4月30日、神戸新聞社の取材に応じ、自宅待機中に亡くなる患者が出ている現状について「医療崩壊している」と危機感をあらわにした。その上で「医療者がオール明石で団結しないと、この危機は乗り越えられない」と訴え、民間病院や開業医らに協力を呼び掛けた。(長尾亮太)
猛威を振るう新型コロナの感染「第4波」について、「感染者の急増は変異株のまん延が影響している。変異株は感染力が強いほか、若年者でも重症化しやすいなど、さまざまな点で第1~3波とは大きく違う」との見解を示した。
市民病院には23床のコロナ病床があり、もともと中等症と軽症の患者受け入れを担ってきた。現在、重症患者向けの医療機関が満床となったため、重症患者も受け入れている。高度治療室(HCU)で気管挿管による人工呼吸管理を行ったケースや、心臓治療のために配備する人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を使用した患者もいるという。
ただ、病床は常に満床状態。さらにコロナ感染患者の対応には通常より多くの人手を要するため、「これ以上の受け入れは看護師らにとって過重労働となり、もし集団感染が起きれば病棟が機能停止する恐れがある」と強調する。
さらに「患者を受け入れてもらう民間病院を増やすことに加え、2回のワクチン接種を済ませた開業医に在宅療養中の患者を往診してもらえれば、保健所の後押しにもなる」と訴えた。
同病院ではこれまで500人に迫る入院患者を受け入れる中で、スタッフ計7人が感染した。それでも「回復すると全員がすぐに現場へ戻ってくれた。コロナを理由に辞めたスタッフは一人もおらず、誇りに思っている」と述べた。
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