ワタミの食事宅配事業「ワタミの宅食」が、兵庫県明石市内に住む高齢者宅へ配達する際、特殊詐欺啓発のチラシを配布している。

 特殊詐欺による被害を防ごうと明石署が同社に依頼した。チラシには「電話でお金の話は詐欺です」「ATMで還付金の手続きはできません」などと書かれており、宅配時にスタッフが手渡す。高齢の利用者が多く、過去には訪問中に特殊詐欺と思われる不審電話があり、被害を未然に食い止めたこともあるという。

 チラシを受け取った女性(83)は「いっそう詐欺に気をつけようと思った。いつも気にかけてくれるから安心感がある」と笑顔。同社スタッフの三道ゆうこさん(37)は「小さなことも相談できる相手になりたい」と話した。

 同署によると、今年に入ってからの特殊詐欺被害件数は明石署管内が県内で最も多く、6月9日時点で41件。昨年の同時期に比べて9件増加している。約7割を架空請求詐欺と還付金詐欺が占めているという。

 同署は「不審な電話があったらすぐに切って相談して」と呼びかけている。

(領五菜月)