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 「発熱外来がいっぱいで診てもらえない」。そんな電話が、あかし保健所(兵庫県明石市大久保町ゆりのき通)へ1日に約200件かかっている。新型コロナウイルスの新規感染者数がかつてない勢いで増え、受診者が膨らむ一方、地域の診療態勢が追いついていないためだ。一方で、同保健所の浜田昌範所長(64)は「第7波の中心となっているウイルスは、ワクチンを打っていれば重症化しにくい。パニックを起こさないで」と呼びかける。話を聞いた。(聞き手・長尾亮太)

 -ウイルスがオミクロン株の新たな派生型「BA・5」へ置き換わり、第7波が来た。

 「1日に500~700人規模の新規感染者が出ており、BA・5の感染力の強さに驚かされる。ただ、昨年5月ごろの第4波のように、コロナによる肺炎や免疫の過剰反応で亡くなる人はいない。死者の大部分は80代以上で、もともと病気のある方が多い」

 -コロナ患者用病床はどれほど埋まっているか。

 「病床は逼迫(ひっぱく)しつつある。点滴や解熱剤を使って症状が落ち着いたら自宅へ帰ったり、後方支援病院へ移ったりしてもらい、そこへ新たな患者を受け入れることで病床を回している。昨年は発症から10日ほど後に免疫の過剰反応が起きて亡くなる人もいたが、今回は発症から数日たてば症状があまり悪化しない」

 -注意すべき症状は。

 「今回のウイルスは消化器に症状が出るので、高齢者が下痢や嘔吐(おうと)によって脱水症状を起こしやすい。熱中症も重なっている。乳幼児は、高熱に伴う『熱性けいれん』が多いので、病院には早めに解熱剤や点滴を使って予防してもらっている。また、子どもは喉が痛くてご飯や水を取れず、脱水症になりがちだ。高熱で意識がぼんやりする子どももいる」

 -なぜ発熱外来で診てもらいにくいのか。

 「熱を出す人が急増し発熱外来の対応力を超えた。明石市内に278の医療機関がある中、約80の医療機関が発熱患者の診察や検査をしてくれている。原則すべての医療機関にコロナ診療に参加してほしいというのが、私の願いです」

 -発熱外来にはどんな役割があるのか。

 「発熱外来は発生届を提出するほか、解熱剤を処方している。高齢者や糖尿病患者、がん患者、免疫抑制剤を使う人などは重症化の恐れがある。発熱外来で医師が問診するほか、保健所が原則として65歳以上や6歳以下、基礎疾患のある患者などには電話をかけて、二段構えで(治療の優先度を決める)トリアージをしている。重症化リスクを見逃さないよう努めている」

 -今後、市民が心がけるべきことは。

 「ワクチンをしっかり打っていれば、たとえ感染は防げなくても、重症化しにくくなる。だからパニックにはならないでほしい。また、症状がある人は行動を自粛するとの行動規範を社会全体で再度確かめたい。3密回避とマスク、手洗いなど基本動作を徹底しつつ、夏は熱中症に配慮してマスクを着脱してほしい」

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