寒さが厳しい。冬は急激な温度変化で血圧が急変する健康被害「ヒートショック」に注意が必要だ。予防策などについて動画投稿サイト「ユーチューブ」で発信する松尾設計室(兵庫県明石市西明石北町1)の松尾和也社長(47)は「住宅の断熱は改修費が要るが、光熱費の抑制効果が大きい」と語る。詳しく話を聞いた。
松尾さんによると、無断熱の家の脱衣所は気温が10度以下になる。また家全体が寒いため身体が冷えやすく、湯の温度を高めに設定する人が多い。すると、脱衣所と湯船の温度差は大きくなり、血圧が急激に変動してしまう。
ヒートショック予防には温度差を小さくすることが必要だ。脱衣所を電気ヒーターなどで入浴前に25度以上に温めておき、湯の温度は41度以下に設定するのが望ましいという。
古い家屋はタイル張りの浴室が多く、体が冷えてしまう。松尾さんが勧めるのはユニットバスへのリフォームだ。費用は50万円程度からで、浴槽の周りに断熱材が入っているため、魔法瓶のようにお湯の温度が下がりにくい。ヒートショックの予防に加えて、光熱費の削減にもつながる。
部屋と部屋の温度差をなくすには、家全体を断熱することが理想的だという。古い家屋の場合、断熱リフォームの優先順位は1番に窓、次いで屋根、床。今後10年以上住む予定のある家なら改修のメリットは大きい。施工で温度を一定に保ちやすくなるため、暖房の使用が減り、電気代、ガス代の削減になる。
設備面では、給湯機器を「エコキュート」に替えると、電気温水器を使用している家庭では省エネ効果が大きい。費用は40万円ほどだが、まれに高額で売りつける強引な訪問販売があるため注意が必要だという。
松尾さんによると、脳梗塞になった場合には、手術や退院後の介護費用に数百万円が発生するケースがあるほか、後遺症などで体にまひが残る可能性がある。
「断熱すると、快適で健康に暮らせ、環境やお財布に優しい。初期費用はかかるが、積極的に住宅断熱をしてほしい」と話す。