タレントのタモリさんが、日本各地の歴史や文化を紹介するNHKの紀行番組「ブラタモリ」。兵庫県は神戸と宝塚など4回分の放送で取り上げられ、西日本では鹿児島県に次いで多い。郷土の風習や食を掘り下げる「新五国風土記(ふどき)」を連載中の本紙取材班としては、媒体こそ違えど気になる存在。人気にあやかれればと期待しつつ、なぜ兵庫を頻繁に訪れるのか、制作スタッフに尋ねてみた。(小川 晶)
番組は2015年4月から全国を巡るようになり、3月24日の放送で100回目を迎えた。兵庫は、港とハイカラがテーマの「神戸」が2回、歌劇の街の歴史をたどる「宝塚」と、豊臣秀吉とのゆかりに触れた「有馬温泉」が1回ずつ取り上げられた。
ロケ地を都道府県別に紹介する公式サイトの「タモリのブラブラ足跡マップ」によると、北海道と神奈川が7回で最多。東京、鹿児島が5回で続き、兵庫の4回は京都などと並び5番目に多い。一方で、山形、福井などは一度も登場していない。
NHKによると、ロケ地は、魅力的な「ナゾや疑問」の有無や季節などを踏まえてスタッフが決定。垣東大介(かきとうだいすけ)チーフプロデューサー(CP)は「タモリさんから行き先をリクエストされることはありません」と明かす。
全国的なバランスにも配慮しているそうで、兵庫が多い特別な理由はないとのこと。ただ、タモリさんや視聴者が共有できる魅力が多い地域だからこそ、ロケが実現したという。
兵庫の放送回では、タモリさんが各スポットへの訪問歴を語っている。「過去に4回ほど来ているが、用件があってどこも回っていない」(神戸)、「6年ほど前に1度来たことがある」(有馬温泉)という程度で、まだまだブラブラしがいがある地のようだ。
神戸新聞の新五国風土記は、第5部「但馬編」を連載中。これまでも、淡路のタマネギ農家らが使う「農民車」から、謎めいた播磨の「法道(ほうどう)仙人」、丹波の恐竜まで、タモリさんに興味を持ってもらえそうな話題を幅広く紹介している。
これまでブラタモリで取り上げられた兵庫の4回分はいずれも「摂津」のエリア。「五国」のうち4地域は手つかずだ。
垣東CPは「この先も兵庫県に伺う可能性はあると思います」。番組の大ファンで新五国風土記担当の長沼隆之・報道部次長は「博識のタモリさんに訪れてほしい兵庫はまだまだある。私たちの連載が参考になれば望外の喜びです」とラブコールを送る。
【ブラタモリ】「まち歩きの達人」とされるタモリさんが、日本各地をブラブラ歩き、知られざる歴史や人々の暮らしに迫る。NHK総合で毎週土曜午後7時半から放送中。これまでに、放送批評懇談会の「ギャラクシー賞」テレビ部門奨励賞を受けたほか、国土地理院や日本地質学会などからも表彰されている。