幼少期から姫路城を好きだったことがきっかけで左官になった柴田正樹さん=姫路市飯田1
幼少期から姫路城を好きだったことがきっかけで左官になった柴田正樹さん=姫路市飯田1

 世界文化遺産・国宝姫路城の美しさに魅せられた人たちが姫路にいる。漆喰(しっくい)の壁や屋根を修理する左官、レンズを向けるカメラマン、鉛筆で細部まで描くスケッチ愛好家。連載の最後に、それぞれの立場から城を見つめ続けてきた3人に「城の美」について語ってもらった。(長尾亮太)

■400年前の職人の息遣い感じ<山脇組の左官・柴田正樹さん>

 「30年前、姫路城が世界遺産に登録されていなければ私の人生は違っていた」。漆喰が塗られた姫路城の壁や屋根目地の修理を手がける山脇組(姫路市飯田1)の左官・柴田正樹さん(48)は、そう振り返る。

 1993年12月、世界遺産に登録された姫路城や法隆寺を特集したテレビ番組が放送された。高校卒業を控えていた柴田さんは、番組で山脇組の左官が「若い担い手がいない中で城を守り続けなければならない」と語るのを見て「ぜひやってみたい」と決意。放送したNHKなどを通して山脇組と連絡を取り、94年4月から働き始めた。