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近畿大学の宮沢正顕教授
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近畿大学の宮沢正顕教授

 兵庫県内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されてから1日で1年になる。3度にわたる感染拡大の波を経て、ようやくワクチン接種が本格化しようとしている。

 新型コロナウイルス感染症ワクチンは4月以降、高齢者らへの接種も始まる見込みで、接種は努力義務が課される。副反応の可能性も指摘される中、安全性をどう評価すればよいのか。ファイザー社のワクチンについて、近畿大学大学院医学研究科長の宮沢正顕(まさあき)教授(ウイルス感染免疫学)に聞いた。(高田康夫)

 -mRNAワクチンは世界で初めてというが。

 実は、がんワクチンやエイズワクチンに使えないかと約30年前に基礎研究が始まり、この10年で臨床研究が急速に進んだ。副反応が出にくい構造など研究が積み上げられ、応用されている。初めてだから心配ということはない。

◇副反応起きないように開発

 -海外では強いアレルギー反応「アナフィラキシー」の報告もある。

 インフルエンザワクチンなどは有効成分以外の物が入る可能性があるが、mRNA自体はタンパク質をつくる情報のみのため、アナフィラキシーを起こす可能性は理論的にゼロ。ただ、mRNAを包んでいる油の膜を安定化させるため、ポリエチレングリコールの誘導体を入れており、それに対して強い免疫反応を起こす人がいる。ただ、決して高くない割合。もっと高い割合の薬はある。

 -痛みや発熱などの副反応も報告されている。

 注射をするので、痛いのは当たり前。1回目の接種で免疫反応が起きているので、2回目で注射部位の腫れや発熱が出やすい。ただ、できるだけ副反応が起きないように長年かけて開発されてきた。

 -長期的な影響を心配する声を聞く。

 どんなウイルス感染症でも、ある確率で免疫反応が自分自身を傷つけることが起こり得る。同じようにワクチンも免疫反応で体を痛めてしまう可能性がゼロではないが、感染しても起こることで、ワクチンが悪いことにならない。注射する遺伝情報が染色体に入り、子孫に伝わるかのようなことも一部で言われるが、それは全くあり得ない。

◇他人にうつす確率も下がる

 -発症予防の有効性95%といわれる。感染しても無症状の人もいるが、感染も予防できるのか。

 95%の有効性は高く、良く効くと評価できる。どんなワクチンでも感染を完全に防止するのは難しく、ウイルスが入ってきても、ただちに免疫反応が起きて追い出すことを目指すしかない。体内から早くウイルスがなくなれば、他人にうつす確率も下がる。

◇血友病患者や妊婦は注意

 -接種で気を付けるべき人は。

 血管が多い筋肉に注射するため、打った場所に出血を起こしやすい。血友病の患者や、心臓の病気で抗凝固薬を使っている人は血の塊を作ってしまう可能性がある。また、以前にポリエチレングリコールや似た成分が含まれるインターフェロン、抗体医薬などの注射でじんましんなどを起こしたことがある人は注意した方が良い。花粉症など一般的なアレルギー性疾患と直接の関係はないが、重いぜんそくや全身のじんましんを起こしたことのある人は、特に2回目の接種で注意したい。あとは妊婦。赤ちゃんの体ができる妊娠初期に強い免疫反応が起きることで、流産などを誘導する可能性がゼロではない。ただ、このワクチンでそのデータがあるわけではない。

 -子どもの接種は。

 大多数は重症化しないので、優先ではない。また、鼻風邪コロナウイルスに対し免疫を持っているため、新型コロナにも免疫反応が起きる可能性がある。16歳以上が接種して集団免疫を獲得すれば、このウイルスへの心配がなくなるのではないか。

 -持病のある高齢者も多いが、大丈夫か。

 新型コロナは感染力が強く、高齢者は感染すれば重症化の確率も高い。インフルエンザワクチンに比べれば有効性が高く、注射部位の反応も少ないワクチンなので、打たない理由がない。ワクチンを打って多くの人が亡くなる状況を止めるべきだ。

【mRNAワクチン】人のDNAには体全体の設計図が書かれている。mRNAは部品一つ一つの設計図のコピーで、それを元にタンパク質が作られる。新型コロナウイルスも自分の遺伝情報をmRNAに変え、人間の細胞にタンパク質を作らせる。ウイルスと同じmRNAを注射することで、感染時と同じタンパク質を細胞に作らせ、免疫反応を起こさせる。

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