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女児の家庭で備蓄している医療用機器や人工栄養=神戸市東灘区
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女児の家庭で備蓄している医療用機器や人工栄養=神戸市東灘区
手動式吸引器でたんを取り除く女児。災害で電源が使えない時も命綱となる=神戸市内(家族提供)
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手動式吸引器でたんを取り除く女児。災害で電源が使えない時も命綱となる=神戸市内(家族提供)

 災害時、日常的に医療行為が必要な子ども(医療的ケア児)をどう守ればよいのか。人工呼吸器の停電時のバックアップ、避難するまでの対応や支援など不安材料は尽きない。新型コロナウイルス感染防止への配慮も必要だ。東日本大震災から10年を前に、課題や対策を考える。(佐藤健介)

 「阪神・淡路大震災のような地震が今起きたら、この子はどうなるのか」。先天性の心臓病を患う小学4年の長女(9)を育てる母親(48)=神戸市東灘区=は表情を曇らせた。長女は常に人工呼吸器が必要。「最も怖いのは電源が使えなくなること」だという。

 酸素ボンベや消毒用ガーゼなどは数日分ストックしているが、バッテリーがもつのは6時間ほど。手動式呼吸器を備えてはいるものの、自発呼吸とタイミングを合わせるのが難しい。「避難所や町中に非常用電源のスポットがたくさんあれば助かるのだけれど…」

 ほかにも不安はある。医療内容や体質など生活上の留意点について家族以外に知る人はほぼいない。「災害発生直後を生き延びても、継続的な支援が受けられるのかどうか分からない」と明かす。

 厚生労働省の推計によると、人工呼吸やたん吸引、経鼻栄養、排せつ介助などに支えられながら家庭や地域で暮らす医療的ケア児は全国で約2万人。医療技術の進歩もあってこの10年でほぼ倍増しているという。

 2016年の改正児童福祉法により、医療的ケア児への対応が自治体の努力義務になった。看護師に加え、研修を受けた保育士や教員らに医療的ケアが認められているものの、担う人材が不足しているのが現状だ。

 24時間態勢で付き添う家族の負担は大きい。災害から身を守ることは容易ではなく、自治体や医療団体は、医療的ケア児の情報を普段から身近な人らと共有しておくことを勧めている。

 兵庫県はその一環として「災害対応サポートハンドブック」を作成した。

 栄養剤の注入スケジュールや人工呼吸器の装着時間といった医療行為の内容、排せつの回数や食事の取り方、食物アレルギーの有無、かかりつけ医の連絡先などを、保護者が記入する。予備の人工呼吸器や外部バッテリー、ガーゼやアルコール綿など事前に用意しておくべき物も紹介。保護者が持ち歩き、教員や地域住民ら関わりのある人にもコピーを渡して情報を共有し、災害時の支援者を増やすことも狙いの一つだ。

 日本小児科学会は、災害時に手助けしてほしいこと、好きなことや苦手なことを記す「ヘルプカード」をホームページで公開。救護してもらう住民をあらかじめ決めておく「要援護者情報」への登録や、要援護者に配慮した「福祉避難所」の事前確認も促している。

■電源喪失時の対応

 医療機器が生命維持に欠かせない医療的ケア児にとって、災害時の長時間停電は脅威だ。

 2018年北海道地震での道内全域停電(ブラックアウト)では、外来診療を取りやめる病院が続出。そこで、国立成育医療研究センター(東京)は19年、電源確保や、電気が使えない環境での対応を解説した「医療機器が必要な子どものための災害対策マニュアル」を取りまとめ、ホームページで公開している。

 医療機器の駆動時間や消費電力を把握するとともに、停電時の代替電源として外部バッテリーを複数準備し、月1回以上は充電するよう助言。市販の蓄電池のレンタルや購入する方法を紹介している。

 自家用車から電源を取る方法や注意点も詳しく解説。必ずエンジンを先に駆動させておく▽電源を車から直接取るのではなく外付けバッテリーに充電する▽防水加工の施された十分な長さの電源コードを用意する-といったポイントを示す。

 電気が使えない場合もシミュレーションし、短時間なら医療機器と同じ処置が施せる手段も紹介。人工呼吸器は蘇生バッグで代用でき、たん吸引器は持ち運びが容易な手動式や足踏み式も有効とする。

 また、「在宅で医療機器を使う人の存在を地域に知ってもらうべき」と強調。例えば、災害時に発電機などを利用させてもらえるよう、積極的に地域とのつながりを築いておく重要性も説く。

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