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「卒業生が訪ねてくれるのはうれしい」と話す指宿力校長(左)と香川知生さん=神戸市須磨区横尾9、啓明学院中学・高校
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「卒業生が訪ねてくれるのはうれしい」と話す指宿力校長(左)と香川知生さん=神戸市須磨区横尾9、啓明学院中学・高校

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため休校中だった啓明学院中学・高校(神戸市須磨区)で、今春同校を卒業した男子学生と就任したばかりの新校長が、教育をテーマに対話を繰り広げた。男子学生が「母校の現状や高校教育の未来について聞きたい」と同校を訪ね、校長が快諾した。休校対策、教育の目的、これからの高校生像…。多彩なキーワードを軸に約1時間半、熱く語り合った。(鈴木久仁子)

 対話したのは、関西学院大学法学部1年の香川知生(ともき)さん(18)と、指宿力新校長。啓明学院が休校中の5月下旬、「高校時代から時間があれば校長に疑問をぶつけてきた」という香川さんが母校に足を運んだ。

■コロナ

 香川さんはまず、新型コロナの影響を受けた現状を確認。全校生がオンライン授業を受けている▽キリスト教主義教育を実践しているため出席を取り、礼拝も欠かさない-といった状況について説明を受けた。

 指宿校長は「教職員は勉強会を重ね、授業内容に工夫を凝らす。でも、やっぱり最初に画面で子どもたちの顔を見た時は感激し、涙が出たなあ」。「子どもたちあっての教育だと実感した。この気持ちは忘れない」と言葉をかみしめた。

 オンライン授業については「いいことも嫌なことも体験してこそ。直接の体験はオンラインに代用されるものではない。あくまでも学習支援ツール」ときっぱり。その上で、「かといって切り離すものでもない。今後は双方向のスキルを上げ、対面での授業と組み合わせる方向になるだろう」。

■偏差値

 香川さんが在学中、啓明学院は国際社会で活躍する人材を育てる文部科学省のスーパーグローバルハイスクールに指定されていた。香川さんもミャンマーで研修を体験したといい、高校生活を「知見が深まった。校外交流も活発で有意義だった」と振り返った。

 一方で「日本全体を見渡せば、まだまだ高校教育は偏差値偏重のように思う」と語り、「いい大学への入学、いい会社への就職が目指す将来なのか」と指宿校長に思いをぶつけた。

 指宿校長は「進学や就職そのものが教育の目的ではない。目指すのは子どもを自立に導き、子ども自身の選ぶ力を引き出す教育」と力説。「教師の意に沿うものを選ぶために生徒の個性をつぶしてはいけない。学校は学ぶモチベーションを見つける場になればいい」と提案した。

■可能性

 これから僕らには何が必要だろうか。

 「本を読んで、人と出会って、損得抜きのチャレンジをしてほしい」と指宿校長。香川さんが「イベントや企画を実施しても高校生は消極的な印象。もっと夢を語ってもいいのでは」と返すと、「おとなしいから何も考えていないわけじゃない。人間は多様。自分とは違う他者を知り、一度の人生を真面目に考えてほしい」と願いを口にした。

 「卒業生として、聞きたいことをたくさん聞けた」と満足そうな表情の香川さん。高校時代は海外でのフィールドワークや校外の活動に飛び回っていたといい、「あまり本も読まなかったので最近、高校の授業で知った『本を読む本』(M・J・アドラー)を読み直し、読書を始めた。論理的な思考と創造力が身につくと実感している。将来は自分の可能性を見極め、誰かの役に立つ道を選びたい」と力を込めた。

【いぶすき・ちから】1965年京都府生まれ。関西学院大学神学部卒。91年から啓明学院の聖書科教諭として勤務。2020年度から校長。

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