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定年が近づきレスリング部の存続について危機感を覚える猪名川高校の浅井功監督(左)=兵庫県猪名川町紫合
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定年が近づきレスリング部の存続について危機感を覚える猪名川高校の浅井功監督(左)=兵庫県猪名川町紫合

 兵庫県内の公立部活動で指導教員の高齢化が進み、後継者がいない競技が出始めている。2012年策定の県スポーツ推進計画で予想された課題でもあり、近年はそこに教員の働き方改革が重なる。県教育委員会は外部人材の活用で対応するが、補助的な支援にとどまっており、制度自体に限界がある。(有島弘記)

 「定年まで4年。再任用で残れるかもしれないが、どうなるか。休部になれば、レスリングをやりたい子にとって、これ以上の不幸はない」

 県立猪名川高校でレスリング部を率いる浅井功監督(56)は危機感を隠さない。学校がある猪名川町は06年の兵庫国体でレスリング会場になり、競技が広まった。

 地元クラブには園児から中学生まで約80人が在籍する。全国大会で活躍する選手もおり、同校は地元選手の受け皿になっている。

 県立神戸高塚高校(神戸市西区)にもレスリング部はあるが、同校の監督も50歳手前だ。

 野球やサッカーなど人気競技は世代交代できるだけの指導者はいるが、マイナー競技は不足している。

 教員の高齢化は全県で進む。県教委の統計によると、50代の高校教員は1998年度に全体の23%だったが、2020年度は32%。50代の中学校教員も50代の割合が12%から22%に広がった。

 そこに働き方改革が加わる。競技経験がない教員が部活の指導者になるケースが多く、練習指導や休日引率の負担、学習指導に費やす時間が減っていることなどが問題化。これを受け国は17年度、教員以外の競技経験者を中学校や高校に派遣する「部活動指導員」を制度化した。専門的な指導に加え、引率や部費などの会計管理も任せることが期待された。

 兵庫県は20年度、県立高校に予算上限の55人を送り出すが、学校側の需要は高く、県教委の担当者は「泣いている学校がある」と打ち明ける。

 また、指導員の派遣は週1、2回程度で、給与も時間給(1年契約)。同制度を活用し、OBの大学生を受け入れている猪名川高校の浅井監督は「収入の代わりにはならない。定職を持っている人が両立するのも時間的に難しい」と話す。

 県は関連予算を19年度から倍増させたが、課題の解決には至っていない。

 外部人材に現場を託すリスクもある。

 奈良県の県立高校は企業と連携してサッカー部に元Jリーガーの監督を招いたが、元部員が6月、パワーハラスメントを受けたとして提訴した。従来の体罰問題と同じく、校長ら学校側が任せきりだったとみられ、指導に目が行き届く体制づくりも求められる。

【兵庫県スポーツ推進計画】兵庫県教育委員会が2012年12月に公表し、21年度まで10年間のスポーツ施策について基本的な考え方を示した計画。子どもと大人の体力増進や、トップアスリート育成など県全体の競技力向上に向けて数値目標も盛り込む。部活動の課題には教員の高齢化などを挙げ「外部指導者の派遣等による支援が期待されている」と明記した。

■神谷拓・関大教授 生徒主体のマネジメントを

 後継者不足などを受け、部活動の現場で外部人材の活用が進む中、今夏、専門書「部活動学 子どもが主体のよりよいクラブをつくる24の視点」を監修した関西大学の神谷拓教授(スポーツ教育学)は「部活動指導員に頼りきりでは続かない」と指摘する。クラブや部活動は本来、自主的な活動とし、生徒を中心にした部活動づくりを提言している。

 神谷教授は宮城県塩釜市の中学校で、生徒中心の部活動運営を支援した。

 練習計画や用具管理、試合の戦術など項目別に、選手だけでやるのか、外部人材ら指導者に一任するのかを双方が話し合って決めた。その協議には保護者も加わり、教員や外部人材は生徒のサポートに回る運用を実践した。

 神谷教授は「任せる部分を目に見える形で示せば、校長も生徒主体の部活動に向けてマネジメントできる」と提案する。

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